Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ドライマウスの原因の1つにストレスが挙げられ、ストレスが存在する状況では、交感神経が優位な条件となり、唾液の性状は粘液性唾液に変化する。これがドライマウスを引き起こし、自浄作用の低下を導くこととなる。ストレスが免疫機能を低下することは古くから知られているが、最近になり、自然免疫機構の低下が著明であることを示唆する報告が相次いでいる。自然免疫機構の一つに生体が産生する抗細菌性ペプチドのディフェンシンがある。ディフェンシンは細菌、ウイルス以外に、カンジダ菌を含めた広範囲スペクトラムをもっていることから、特による感染防御機構が注目されてきている。本研究では、ストレスにより発症したと考えるドライマウスの患者から採取された唾液を用い、唾液中のストレスタンパク量、カンジダ菌数、ディフェンシンン量を計測し、ストレスがディフェンシンの産生に及ぼす影響と、これが口腔のカンジダ菌量に与える影響について明らかにすることを目的とした。実験として、まずカンジダ保菌状態の検索を行い、被験者から唾液および舌背部からサンプルを採取した。それらをサブロー寒天培地で好気培養し、コロニーの形成を認めたものを陽性とした。さらに真菌遺伝子検出キットを用い1stPCRで広範囲に真菌検索後、nested PCRによりカンジダ属菌種を同定した。これと同時にストレス関連タンパクであるコルチゾール、クロモグラニンA、メラトニンの測定および自然免疫機構に関与するディフェンシンの検索を行なった。実験方法は被験者の唾液からコルチゾール、クロモグラニンA、メラトニンの濃度およびαディフェンシン、βディフェンシン2、3を用いELISA法にて検索した。現在、母集団を増やした後、それらをデータ化し、相関解析を行う予定である。