Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究では、まず、上顎劣成長型下顎前突症を示す顎変形症患者のFGFR2遺伝子の細胞膜外ドメインに点突然変異が存在し、それらは健常者ないしは他の下顎前突症患者、あるいはより表現型の重度な症候群の患者には認められない変異であることを明らかにする。研究対象として、東北大学病院附属歯科医療センター矯正歯科・咬合機能成育診療室・顎口腔機能治療部に来院し、下顎前突を伴う顎変形症患者のゲノム遺伝子を使用するため、最初に研究対象となる上顎骨劣成長型下顎前突症とそれ以外の下顎前突症の区分けの設定を行い、症例を選別した。また、対照群となる正常咬合を有する成人、および上顎骨劣成長を有しない成人下顎前突症患者の選別もあわせて行った。今後は充分に研究内容を説明し同意を得られた患者より採血し、試料となるゲノム遺伝子を通法にしたがって精製する。個々のFGFR2遺伝子のexonに対してこれを増幅するPCR用primerを設定し、それぞれのexonをPCRにより増幅する。それら遺伝子増幅断片についてそれぞれ塩基配列を決定し、これまで知られている種々の症候群における塩基配列およびその変異と比較し、上顎骨劣成長型下顎前突症に特有の遺伝子多型ないしは変異を見いだす。最終的には得られた遺伝子レベルでの特徴(変異)と顎顔面形態の特徴とを比較検討し、患者の持つ遺伝的背景と表現型との関連を明確にすると同時に、得られた変異がどのようなFGFR2遺伝子の機能的変異と関連しているかを分子生物学的に検討する。ことに、FGFR2の活性化や、その活性化に関連していることが知られているへパラン硫酸鎖とFGFR2との親和性の変化などを検討する。