Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
本研究は、軟口蓋発生の分子生物学的解析を通して、軟口蓋裂の発症機序を明らかにすることを目的としている。本研究の遂行にあたって、平成19年度の研究計画は、口蓋形成において各由来を異にする、神経堤細胞、開葉系細胞(中胚葉由来細胞)、上皮細胞の3種類の細胞分布を、Wnt1-cre:R26R、Myf5-cre:R26R、K14-Cre:R26R遺伝子改変マウスを用いて調べることであった。胎生13.5日齢のマウスの口董棚は、舌の左右両側に垂直に成長しており、その後、胎生14.0日齢で舌上に挙上され、水平方向に成長し、接触・癒合が起こり2次口蓋を形成する。X-gal染色を行った解析において、胎生14.5目齢の口蓋問葉はほんとんどが神経堤由来の細胞であることがわかった。つまり口蓋が形成された直後は、組織学的には硬口蓋と軟口蓋の明らかな区別は存在していないことがわかった。軟口蓋領域の骨格筋形成は、胎生15.5日齢以降に背側部より、中胚葉由来細胞の進入が起こることによって始まる。骨格筋細胞は、骨格筋繊維マーカーであるMyosin Heavy Chainを免疫染色することで同定した。神経堤細胞によって構成された未分化な細胞群中に、将来骨格筋組織を構成する内胚葉由来の細胞が遊走するためには、この2つの細胞群間のシグナルネットワークが重要である。しかしながら、Myf5-Cre:Tghbr2^<n/n>マウスは、口蓋裂を発症しないことから、神経堤細胞または、上皮細胞におけるTGF-βシグナルがパラクラインに軟口蓋の骨格筋形成を調節していることが考えられる。軟口蓋を形成する骨格筋細胞の動態を明らかにしたことによって、軟口蓋発生における重要な胎生期を胎生14.5日齢から、17.5日齢の3日間と限定することができ、今後の研究遂行にあたって有意義なデーターを蓄積することができた。
All 2008
All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)
Developmental Biology (In press)