Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
ヒト間葉系細胞において、水平旋回培養による細胞活性上昇効果の有無について検討した。2人のドナー(25歳男性:25M、50歳女性:50F)の、冷凍保存されたヒト大腿骨骨髄由来間葉系細胞を使用した。細胞担体は純チタン製ファイバーメッシュ(HI-LEX Corp.製)を乾熱滅菌し使用した。実験群として、水平旋回培養群(撹絆群)と、静置培養群の2群を設定した。実験方法は、凍結保存細胞を解凍後、15%FBS含有α-MEM培地を用いて増殖培養を行った後、細胞懸濁液を作製し細胞担体に播種したた。播種翌日より、骨芽細胞誘導因子を添加した骨誘導培地にて撹拌群・静置群の2群に分け培養を行った。培養14日目にアルカリフォスファターゼ活性(ALP活性)、カルシウム量(Ca)、および細胞増殖量(DNA量)にて定量評価した(n=3)。さらにヌードラット背部皮下に6週間移植し、摘出後ALP活性、Caについて定量を行った(n=3)。結果、DNA量は2症例共に、撹拌群で有意な上昇を認めた。ALP活性は2症例共に撹拌群で約2倍のALP活性の上昇を認めた。カルシウム量は25Mでは差は認められず、50Fでは撹拌群が静置群と比較し、約7倍の形成量を認めた。ラット背部移植後の定量結果では、2症例共に、ALP活性は移植前より1/2程度まで低下し、両実験群の間で差は認めなかった。カルシウム量は25Mで静置群97μgに対し、撹拌群が61μgと低下、50Fでは静置群0μgに対し、撹拌群381μgと優位に顕著な上昇を認めた。上記結果より、症例間で差は認めるが、高齢患者より採取した間葉系細胞の移植後骨形成能を水平旋回培養を用いることで高度に上昇させることが可能であることが示唆された。これにより、ヒト骨髄由来間葉系細胞においても、水平旋回培養法により骨誘導能上昇効果を期待できることが明らかとなった。