Research Abstract |
本研究では,宮古島の湧水に生息する宮古島固有のミヤコチスジノリとミヤコサワガニの保全を目的とし, 1)ミヤコチスジノリとミヤコサワガニの生息状況および繁殖生態に開する調査研究と,2)湧水環境の教育啓発プログラムの開発と実践,を行った. 1)ミヤコサワガニとミヤコチスジノリの生息状況および繁殖生態に関する調査研究 ミヤコサワガニとミヤコチスジノリの保全のための基礎的情報を得ることを目的として,平成19年6月から平成20年3月まで,毎月1回宮古島において野外調査を行った. ミヤコサワガニの生息する3か所の湧水にて,個体数,性別,抱卵の有無を調べた.調査期間のすべての月において雌を確認したが,抱卵個体は1個体も確認できなかった.ただし8月に稚ガニを抱えている個体を確認した. ミヤコチスジノリは,湧水地のごく一部のみで生育が確認できた.藻体の長さを毎月記録したところ,8-9月は最大で4cmに達していたが,10月以降は確認できたすべての藻体が1cm以下になり,平成20年3月の調査時たは藻体自体を確認することが困難な状態であり,5mm以上の藻体は一切見られなかった.この変化が,季節的要因によるのか,環境の悪化によるのかは,さらなる研究が必要である. 2)教育・啓発プログラムの開発と実践 宮古島の湧水環境と生物の保全のための教育的活動として,宮古島市総合博物館にて一般対象の講演会を2度(平成19年9月15日と10月20日)行った.この講演会の様子は,宮古島の新聞とテレビに取り上げられた. また,平成19年8月19日には,小学校5年生を対象としてミヤコチスジノリの観察会を行った.これに先立ち,観察会実施のための教育普及プログラムの考案と資料の作成を行った.宮古の湧水環境を解説するための「写真紙芝居」,ミヤコチスジノリの解説シート(子供達に寄贈),宮古の湧水に生息するエビ・カニ類の図鑑シート(子供達に寄贈)を作成した.
|