Research Abstract |
南西諸島各地において,トタテグモ類の分布調査と研究用標本の採集を行った.各島における成果は次のとおりである.屋久島:悪天候のために調査が困難をきわめ,幼体の標本をわずかに採集するにとどまった.種子島:島内各地から発見することはできたが,採集個体数はあまり多くない.宝島:多くの研究用材料を採集することができた.奄美大島:各地から研究用材料を採集することができたことに加え,未知種と思われるものを発見することができた.徳之島:多くの個体を採集することができた.沖永良部島・与論島:これまでトタテグモ類の生息が知られていなかったが,今回新たに生息を確認することができ,研究用標本を採集することができた.ただし,与論島で採集できた標本はあまり多くない.沖縄島・伊平屋島・石垣島・西表島・与那国島:島内各地から研究用標本を採集することができた.宮古島:トタテグモ類の生息適地はきわめて少なく,かつ石灰岩地帯であるので調査はかなり難航し,わずかに幼体が数個体採集できただけであった. 本研究の目的のうち,分布状況の調査とDNA解析用の標本確保についてはかなりの成果を得ることができた.一方,外部形態による分類学的再検討には雄の標本が不可欠であるが,ほとんどの島では雄の標本を得ることができなかったため,外部形態による分類学的研究は十分に行うことができなかった.今回の採集調査で南西諸島各地から採集した標本は,これからの分子系統学的研究の材料として活用していきたいと考えている.
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