The Oral Tradition of the Blind Musicians of Kyushu: History, Form, and Function
Project/Area Number |
19F19006
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
兵藤 裕己 学習院大学, 文学部, 教授 (90173202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHALMIRZAEVA SAIDA 学習院大学, 文学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2019: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 座頭(盲僧) / 九州 / 口頭伝承 / 語り物文芸 / 『ワタマシ』 / 『一ノ谷』 / 『俊徳丸』 / 『小栗判官』 |
Outline of Research at the Start |
兵藤裕己は、1980年代頃から九州地方の琵琶法師(座頭)を対象とした定期的な現地調査を行い、調査中に収録した資料をもとに、語り物の生成・変容、口頭伝承と書承文芸との関係について究明し、語り物文芸の本質に関わる仮説を立てた。そして、これらを生かすことで、『平家物語』を始め、日本古典の語り物文芸の形成過程を解明してきた。なお、座頭の語り物文芸については、宗教テクストのあり方、テクストの再構築の仕組み等、これまでの研究で十分に取り上げられていない課題・問題点がある。本研究は、こうした諸問題を中心に日本における語り物ジャンルの形成・歴史的展開を明らかにし、他地域の口承文芸の実態を理解するのにも役立つ。
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Outline of Annual Research Achievements |
20世紀後半に九州地方の座頭(盲僧)の伝承に関して、主に兵藤裕己によって収録された、数百に及ぶ録音・映像資料は、口頭伝承の生成・変容といった、語り物文芸の本質に関わる問題を解明し、日本における声の文化の形成・歴史的展開(日本の古典的な語り物文芸である『平家物語』や説経節『俊徳丸』『小栗判官』等の成立・変容、語り物のジャンルからジャンルへの移行等)を理解する上で重要な手掛かりとなっている。これらの録音・映像資料の分析に基づく本研究の目的は、次の通りであった。第一に、座頭による語り物の生成・変容の仕組みを解明すること、第二に、座頭による語り物文芸の特徴と、素材 ・形式・音楽構造という点で共通性を持つその他の語り物ジャンルとの関係を解明し、日本の語り物文化史における位置付けを明確にすることである。 本研究では、まず、2019年4月から6月の間に、座頭による宗教儀礼の一つである『ワタマシ』を対象とし、語り物文芸における「暗記」と「再構成」を巡る諸問題を中心とした研究課題に取り組み、口承文化における宗教テキストの実態を明らかにした。次に、7月から12月の間に、座頭による『一ノ谷』及びその後編となる『小敦盛』を対象とし、座頭の語り物文芸における平家物の由来とその特徴を巡る研究課題に取り組み、座頭のレパートリーにおける平家物とその他の語り物ジャンルとの関係を解明した。また、1月から3月の間に、『俊徳丸』『小栗判官』等の座頭による説経物を対象とし、口頭伝承の再構成の仕組みを明らかにし、伝統性と語り手のオリジナリティーを巡る諸問題について論証した。 当初2年間と計画されていた研究期間は、ハルミルザエヴァ ・サイダの就職のため短縮したが、ハルミルザエヴァはこれまでの研究によって得られた研究成果をEAJS、AJLS、盲僧琵琶研究会等の大会・研究会に参加し、国内外で報告してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハルミルザエヴァ ・サイダは、2019年4月より1年間、外国人特別研究員として兵藤裕己と共に語り物の生成・変容の仕組み、座頭による語り物文芸の特徴とその他の語り物ジャンルとの関係等の問題を中心とした共同研究に取り組んだ。だが、ハルミルザエヴァの就職のため、これまでの研究成果は、座頭のレパートリーにおける宗教テキストや平家物の実態、及び『俊徳丸』『小栗判官』といった説経物の一部のみを考察するに留まってしまった。本来の目的を達成するためには、ハルミルザエヴァは兵藤裕己と共に開始した研究を引き続き行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ハルミルザエヴァ・サイダは、外国人特別研究員としての研究期間終了後も、兵藤裕己と共に開始した研究を本来の計画通りに遂行していく予定である。現時点では、本研究の中核となる兵藤裕己が蒐集した一次資料は、ハルミルザエヴァが預かっている。現在、当初の研究計画書(2年目)に沿って、分析作業を進めつつ、論文執筆に取り組んでいる。今後、各研究段階で必要とされる資料を随時調査・収集・分析しつつ、引き続き研究に従事していく。 現時点では、これまでの研究活動の進展として、以下の研究発表が決定されている。 ①ハルミルザエヴァ ・サイダ、“Old Stories, Original Retellings: The Heike-related Tales in the Repertory of the Blind Biwa Players of Kyushu”(EAJS(ヨーロッパ日本研究協会)、2021年8月、於ゲント大学(ベルギー));本発表は、パネルNarratology and Interpretation of the Heike Narrativesを構成する発表の一つとなっている。本パネルは、兵藤裕己とハルミルザエヴァが協同で準備し、兵藤裕己が司会役を務める。 ②ハルミルザエヴァ ・サイダ、“Old Tales, Original Retellings: the Japanese Legend of Resurrection and Revenge”(NAJACS(北欧日韓研究協会)、2021年5月、於ヘルシンキ大学(フィンランド));また、学会発表後、兵藤裕己が録画した『小栗判官』の一部を上映し、ハルミルザエヴァは解説を担当する。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)