Project/Area Number |
19H00535
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 3:History, archaeology, museology, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 清彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80379213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 和裕 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (70274404)
真下 裕之 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (70303899)
前田 弘毅 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
舩田 善之 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 准教授 (50404041)
柳谷 あゆみ 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (90450220)
山下 将司 日本女子大学, 文学部, 准教授 (50329025)
鈴木 宏節 神戸女子大学, 文学部, 准教授 (10609374)
伊藤 一馬 大阪大学, 文学研究科, 招へい研究員 (90803164)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥43,160,000 (Direct Cost: ¥33,200,000、Indirect Cost: ¥9,960,000)
Fiscal Year 2022: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
Fiscal Year 2021: ¥11,310,000 (Direct Cost: ¥8,700,000、Indirect Cost: ¥2,610,000)
Fiscal Year 2020: ¥11,050,000 (Direct Cost: ¥8,500,000、Indirect Cost: ¥2,550,000)
Fiscal Year 2019: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
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Keywords | 帝国 / 武人 / ユーラシア / 王権 / 移動 / 宮廷 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、前近代のユーラシア大陸に興亡した帝国の広域統治・多民族支配のメカニズムを解明するため、9~10世紀前後のアッバース・突厥・唐、12~13世紀前後のセルジューク系諸王朝・モンゴル・宋、16~17世紀前後のサファヴィー・ムガル・大清という、3つの時期と9つの国家群を対象として、王朝の根幹をなした〈軍事力〉とその担い手の〈移動〉の諸相に注目して、横断的・動態的に比較・総合することをめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第3年度に当る2021年度は、前年に中国から世界に拡散した新型コロナウイルス感染症の影響で研究計画の見直しを余儀なくされ、同年度計画を修正しながら実施するとともに、一部を2022年度に繰越して対処した。当初計画していた個別および共同の海外現地調査は見合せざるをえなかったが、前年以来のオンライン会議ツールを活用した研究会の実績をふまえて、機動的にオンライン研究会を実施するとともに、2022年度には公開連続ワークショップをオンライン形式で開催し、共同研究の実を挙げることができた。 本研究が対象とするのは、8-10世紀前後のアッバース・突厥・唐(第一期)、12-13世紀前後のザンギー朝・モンゴル・宋(第二期)、16-17世紀前後のサファヴィー・ムガル・大清(第三期)という、3つの時期と9つの国家群である。2021年度は個別研究報告よりも比較史的アプローチについての議論を重ね、それをふまえて、3回にわたる公開ワークショップ「武人たちのユーラシア──越境・征服・統合──」を、当初計画より1年遅らせて2022年度に実施した。第一期は「“テュルク/ソグド・インパクト”の東西」、第二期は「“武”の多様性──動乱と征服の時代」、第三期は「帝国を統べる武人たち」と題して研究代表者・分担者全員が報告し、日本古代対外関係史、インド中世史、ドイツ近世軍事史のコメンテーターをそれぞれの回に配して議論を交わした。このような学術企画は、多様な時代・地域にまたがって構成される本研究課題の組織ゆえに可能となるものであり、アジア史のみならず西洋史・日本史にわたる参加者から大きな反響を得た。 当初計画からは変更を迫られたが、このような企画・方法両面にわたる共同研究の実績は、本研究課題の大きな成果と評価できると考える。他方、計画の遷延・変更を余儀なくされたため、期間延長して研究のさらなる進展を期すこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第3・4年度に当る2021・22年度は、所謂コロナ禍の影響で、第2年度に引き続いて当初の研究計画の見直しを余儀なくされた。このため、第2-4年度の活動の柱としていた(1)個別および共同の海外現地調査、(2)海外研究者を招聘した公開国際セミナー、(3)研究メンバーによる公開連続ワークショップ、(4)クローズドの定例研究会、(5)海外研究者を招聘した国際シンポジウムのうち、前二者は断念せざるをえなかった。しかし、(4)の研究会については、オンライン形式の利点を活かして開催頻度を上げることで高密度の共同研究を展開することができ、それを受けて(3)の公開ワークショップを成功裡に開催できた。すなわち、2021年度はオンライン研究会を8回にわたり実施し、また2022年度は5-7月に全3回の連続ワークショップを開催、10-12月にはワークショップ各回のコメンテーターを招いた研究会を開いて、コロナ禍下においても濃密な報告・討論を行なうことができた。 これらの活動を通して、広汎な時代と地域を対象にして立体的に実証・比較を行なうことを企図する本研究課題を、実証研究・比較研究双方の面で順調に進展させることができた。海外での個別の史料調査や共同での現地踏査が果せなかったことは遺憾であるが、本研究は長期間・大規模なフィールド調査を必須とするものではなく、既刊資料を基に個々に実証研究を実施しつつ、比較検討やそのフィードバックを行なうという形で進めているため、国内外移動の制約は根本的な障碍ではなく、総じていえば研究の進捗に大きな支障は生じなかった。その点では、研究内容としては「おおむね順調に進展している」と評価することができる。他方、成果の総合・発信の面では、活動の制約のために充分とはいえず、そこで、総括のシンポジウムを当初計画から遅れながらも実施するため、研究期間の延長で対応する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、2020-21年度に共同海外調査や公開国際セミナー、公開連続ワークショップを実施し、その成果をふまえて、総括として最終年度の2022年度に海外研究者を招聘した国際シンポジウムを開催する計画であった。しかし、これらの計画は、コロナ禍のために連続ワークショップを1年遷延してオンライン形式に変更のうえ実施したにとどまり、2022年度段階でもなお情勢の先行きが不透明であるため、国外から研究者を招聘しての対面シンポジウム開催も厳しいと言わざるをえなかった。そこで研究期間を2023年度に延長し、オンライン形式での連続ワークショップの成功をふまえて、同形式で国際シンポジウムを秋頃を目処に開催し、3期にわたるユーラシアの東西の諸帝国の軍事集団・武人エリートと王権・支配組織との関係について、これまでの成果を総括するとともに学界に向けて発信を図る。 あわせて、予定していた概説論集『ユーラシア諸帝国の武人たち(仮)』の編集・出版を進めるとともに、共同研究を通して明らかになったユーラシア諸帝国における武人たちの具体像や歴史事象の比較考察・モデル化を進め、論文集の編集を目指す。これらの活動を通して、〈軍事力〉の〈移動〉という観点の下、ユーラシア諸帝国の組織・制度と政治社会の両面について、横断的・動態的に比較・総合するという研究目的の達成を目指す。
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