Project/Area Number |
19H00651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 13:Condensed matter physics and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辛 埴 東京大学, 特別教授室, 特別教授 (00162785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 浩三 東京大学, 物性研究所, 准教授 (40372528)
近藤 猛 東京大学, 物性研究所, 准教授 (40613310)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥43,160,000 (Direct Cost: ¥33,200,000、Indirect Cost: ¥9,960,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2020: ¥7,150,000 (Direct Cost: ¥5,500,000、Indirect Cost: ¥1,650,000)
Fiscal Year 2019: ¥14,560,000 (Direct Cost: ¥11,200,000、Indirect Cost: ¥3,360,000)
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Keywords | 超伝導 / 光電子分光 / マヨラナ粒子 / スピン偏極光電子分光 / 時間分解光電子分光 / 高分解能光電子分光 |
Outline of Research at the Start |
近年、これまで全く考えられなかった新しい概念を持った超伝導体が出現している。「光誘起超伝導」と「トポロジカル超伝導体」である。その結果、加速器や宇宙線で観測されていた素粒子が、固体内でも観測し、研究することが可能になった。前者は、超短パルスレーザー光で生成した超伝導のヒッグス粒子が観測されることにより、光誘起超伝導のメカニズムを明らかにする可能性を追求する。一方、後者は、極限まで微小エネルギーを計測する角度分解光電子分光(ARPES)が可能になったことにより、素粒子では発見されていないマヨラナ粒子が固体内で発見される可能性がある。これらの研究を進めるために、最先端レーザー光電子分光を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、全く新しい概念を持った超伝導体が出現してきた。光誘起超伝導とトポロジカル超伝導体である。前者は、超短パルスレーザー光で生成した超伝導のヒッグス粒子が観測されることにより、光誘起超伝導のメカニズムを明らかにする事が出来る。一方、後者は、極限まで微小エネルギーを計測するARPESが可能になったことにより、素粒子では発見されていないマヨラナ粒子が固体内で発見される可能性が出てきた。 本研究では、これまで築いた現有のレーザー光電子分光の装置(レーザー超高分解能極低温光電子分光装置とレーザー時間分解光電子分光装置)を有効に活用し、最大限に成果を上げるよう光誘起超伝導とトポロジカル超伝導の研究を行う。 (1)レーザー超高分解能極低温光電子分光においては、すでに発見したトポロジカル超伝導体の研究をさらに深め、ほかにも同様なトポロジカル超伝導体がないかの探索を続ける。さらに、光電子顕微鏡(PEEM)を用いて、超伝導体のメゾスコピックな電子構造の研究を始める。 (2)レーザー時間分解光電子分光においては、すでに我々は鉄系超伝導体の母物質において初めて、光誘起超伝導の兆しを発見している。これらの研究をさらに発展させ、光誘起超伝導が確実に起きているかどうかを検証するために、特に、ポンプ光の近赤外光やテラヘルツ光の開発を行い、特定のフォノンを励起できるように時間分解光電子分光装置の改造を行う。また、鉄系以外にも光誘起超伝導を起こす物質がないかどうか物質探索も更に行う。 この二つの光電子分光装置は、全国共同利用を通じて、様々な共同利用者の知恵を借り、新奇物質の開発や新奇物性の開発も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1)これまで継続的に開発を行っているレーザー超高分解能極低温光電子分光を用いて、鉄系超伝導体や超伝導体表面に存在するトポロジカル物質表面に発現するトポロジカル超伝導の研究を更に深化させた。またレーザー光電子顕微鏡(レーザーPEEM)を用いて、鉄系超伝導体におけるメゾスコピック領域の電子秩序(ネマティック相)の直接観察に成功した。 ・Discovery of mesoscopic nematicity wave in iron-based superconductors, T. Shimojima et al., Science 373, 1122 (2021) (2)レーザー時間分解光電子分光においては、世界でもまれな共同利用ができる中赤外、テラヘルツ光励起の時間分解光電子分光の開発を行い、論文リストに記載されているように、多くの研究者と時間分解光電子分光装置の様々な共同利用を行った。また自由電子レーザーを用いた研究も実施。その結果、鉄系超伝導関係物質にとどまらずナノ物質の光誘起相転移の研究にて新規物性の発見に成功した。 ・HHG-laser-based time- and angle-resolved photoemission spectroscopy of quantum materials, T. Suzuki et al., J. Electron Spectrosc. Rel. Phenom. 251, 147105 (2021) ・Ultrafast optical stress on BaFe2As2, T. Suzuki et al., Phys. Rev. Res. 3, 033222 (2021)
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、これまで築いた現有のレーザー光電子分光の装置(レーザー超高分解能極低温光電子分光装置とレーザー時間分解光電子分光装置)を有効に活用し、最大限に成果を上げるよう光誘起超伝導とトポロジカル超伝導の研究を行う予定である。 (1)行っているレーザー超高分解能極低温光電子分光は順調に成果を出しているので、このまま、更に深化させる予定である。また高い空間分解能を有するレーザー光電子分光が鉄系超伝導体の電子秩序を探るのに非常に強力なツールとなることが分かったので、この手法を用いて様々な超伝導物質の電子秩序を解明していく。 (2)レーザー時間分解光電子分光においては、世界でもまれな共同利用ができる中赤外、テラヘルツ光励起時間分解光電子分光装置を用いて、共同利用を通じて鉄系超伝導関係物質や鉄系以外の光誘起相転移の研究を引き続き行う。これには自由電子レーザーを含めた様々なプローブも駆使して進めていく。
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