Project/Area Number |
19H00671
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 15:Particle-, nuclear-, astro-physics, and related fields
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Research Institution | Gakushuin University (2021-2022) Tohoku University (2019-2020) |
Principal Investigator |
松本 伸之 学習院大学, 理学部, 准教授 (30750294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥42,380,000 (Direct Cost: ¥32,600,000、Indirect Cost: ¥9,780,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2020: ¥14,820,000 (Direct Cost: ¥11,400,000、Indirect Cost: ¥3,420,000)
Fiscal Year 2019: ¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
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Keywords | 重力定数 / オプトメカニクス / 度量衡 / フィードバック冷却 / 光学トラップ / 微小重力 / 低散逸振動子 / レーザー溶接 / ナノファイバー / 光計測 / 量子制御 |
Outline of Research at the Start |
重力定数の測定精度は全ての物理定数の中で最も低い。これまでは、ねじれ振り子や原子干渉計により、質量90 g以上の大きな物体が生成する重力が測定されてきた。しかし、大きな物体を精度よく作製することは困難なため、測定の系統誤差が大きいという問題があった。系統誤差を低減するため、精密に作製された小さな振動子間の重力を測定すれば良い。しかし、重力の測定は重力源の質量で感度が決まるため、小さな物体の生成する重力の測定は困難である。本研究では、mgスケールの微小な物体間の重力の初検出に挑む。 微小物体間の重力の測定は重力定数の測定精度向上のみならず、重力相互作用の量子性の検証にもつながることが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(a)新たな実験室における環境雑音の対策、(b)低散逸振動子の開発、(c)振動子の条件付き量子制御の実験的な評価方法の開発、を行った。 (a)について:(1)建物の共振由来の雑音(~1 Hz)の対策、(2)交流電源由来の雑音(~50 Hz)の対策、(3)発振器の位相雑音評価、を行った。(1)水平、垂直方向の共振周波数が0.5 Hz、Q値5程度という低周波かつ真空対応な防振板を真空槽内に設置し、その上に多段防振装置を構築した。これらの装置の重心位置の調整を行い、防振の最終段に設置した機械光学系に制御や信号取得のための銅線を多数配線した。配線による防振比の悪化を防ぐため、銅線の直径を100 umとした。(2)絶縁トランスを導入した。これにより、特に、光源へのフィードバック制御で生じるグラウンドループを回避することが可能であり、雑音の低減が期待される。(3)使用するすべての発振器の位相雑音をPLL制御で評価し、精密測定に使用可能な発振器を特定することに成功した。 (b)について:低散逸振動子作製のための延伸装置とレーザー溶接系を再構築した。地面振動のrms振幅が従来よりも増大していたため延伸装置が機能しないことが懸念されたが、装置全体を一体的に構成していたこともあり、純シリカの超細長線の作製に再び成功した。レーザー溶接も一部成功しており、次年度の前半には低散逸振動子の再開発を終えられる見通しが立った。 (c)について:振動子変位と運動量の条件付き分散を実験的に評価する方法を開発した。条件付き分散は理論的には決定論的に求まるが、その値を得るためには振動子変位や運動量の真の値を取得しなければならないため、実験的に求めることが困難である。雑音の含まれる測定結果から近似的に条件付き分散を評価することで、理論予想とよく一致する条件付き機械スクイーズ状態を生成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室の移動に伴い、これまでに開発に成功していた精密変位計測系、低散逸振動子の開発系といったすべての装置を再開発する必要が生じた。また、新たな研究室の環境雑音を再評価し、これまでとは異なる対策を施す必要が生じた。これらの影響から、重力測定に向けた装置開発に関しては遅れが生じている。しかし、実験開始当初には予期していなかった振動子の量子制御に関する研究は順調に進展している。よって、全体的には「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、レーザー溶接系の再開発、精密変位計測系の改良、重力源の設置に取り組む。装置開発が順調に進展した場合には、年度末には微小重力の測定を始めることも可能であると考えられる。また、低散逸振動子を組み込んだ精密変位計測系に対して、これまでに実現した量子制御を適用すれば、より高純度な量子状態の生成が可能であると期待される。 精密変位計測の実現のため、主に、光源の強度・周波数の安定化、すべての電気信号の配線を平衡系へ改良、低散逸振動子を精密変位計測系へ導入、の3項目を実施する。光源の周波数安定化のため、防振装置には単結晶コーティングの施された参照共振器を設置している。参照共振器の長さを基準として光源にフィードバック制御する。数百ヘルツ帯域における制御ゲインを>100 dBとすることで、目標の安定度を実現できる。このような制御を実現するため、変調器としてはEOM、ピエゾ、温調の3種類を組み合わせ、サーボフィルタにはリアルタイムデジタル制御とアナログ回路を利用する。本年度は特に、低雑音デジタル制御系の構築に取り組む。次に、低散逸振動子を一端とする光共振器を離調して動作させることで、振動子の光学トラップを行う。安定化された光を用いて光学トラップを実現し、光共振器の反射光から振動子の変位を計測する。変位計測を実現したのち、雑音源の同定と低減を実施する。 目標の精度に到達したのち、光学トラップされた振動子の隣にシールドに囲まれた重力源を設置する。重力源は共振周波数数百ヘルツの振動子であり、クローズドループ制御型の一軸移動ステージに設置される。重力源と振動子の間の距離を変え、重力相互作用による低散逸振動子の変位で生じた光の強度変調を測定する。重力の距離依存性を測定・フィッティングすることで、重力定数を評価する。
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Report
(4 results)
Research Products
(13 results)