太陽風多価イオンのX線放射観測に対する地上実験からのメッセージ
Project/Area Number |
19H00701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 16:Astronomy and related fields
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田沼 肇 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (30244411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 裕之 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (40250112)
中村 信行 電気通信大学, レーザー新世代研究センター, 教授 (50361837)
飯田 進平 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (20806963)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥44,980,000 (Direct Cost: ¥34,600,000、Indirect Cost: ¥10,380,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
Fiscal Year 2020: ¥15,210,000 (Direct Cost: ¥11,700,000、Indirect Cost: ¥3,510,000)
Fiscal Year 2019: ¥10,010,000 (Direct Cost: ¥7,700,000、Indirect Cost: ¥2,310,000)
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Keywords | 原子・分子物理 / X線天文学 / X線天文学 / 太陽風電荷交換 / 中性水素原子ビーム / 中性原子ビーム / 半導体検出器 / イオンビーム / 高周波プラズマ / 質量分析 |
Outline of Research at the Start |
X線観測衛星によって観測されるスペクトルには,中性の原子から多くの電子が剥ぎ取られた「多価イオン」と中性物質が衝突して起こる反応に起因するものが含まれていると考えられている。太陽系内部では太陽風にわずかながら多価イオンが含まれており,この多価イオンと非常に希薄な水素原子との衝突の理解が必要である。さらに,太陽系以外でも同じ現象によるX線発光は示唆されており,これから打ち上げられる高分解能X線観測衛星による観測データの定量的観測のためにも,詳細な地上実験は必要である。本研究は全く新しいアイデアに基づいて,多価イオンと水素原子の衝突による発光現象を再現することでX線天文学に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
太陽風に含まれている多価イオンと,太陽系の惑星間空間に最も多く存在している水素原子を,実際の太陽風と同じ400-800 km/sの速度で衝突させ,電荷交換反応によって生成する励起状態からの軟X線領域における発光スペクトルを測定することが本研究の目的である。多価イオンは電気通信大学に設置されている電子ビームイオントラップを用いて生成し,磁場によって狭い空間に閉じ込める準備が行われている。このイオンは100 eV以下の低エネルギーで運動しているので,平均すると空間に停止しているとみなすことができる。この多価イオンと水素原子を太陽風と同程度の速度で衝突させるために,高速中性水素原子ビームを準備するのが本研究の第1の課題である。そのために高強度水素原子イオンビームをマイクロ波放電型イオン源によって生成し,希薄な気体を満たした容器に導入して,電荷移行反応によってイオンを中性化することで中性水素原子ビームを生成する。イオントラップは超高真空に保たれているので,中性化用の気体がイオントラップに入らないように差動排気が必要である。昨年度までに製作していた部品をすべて組み立て,実際に水素原子ビームを生成し,水素原子と全く同じイオン化ポテンシャルを持つメタンを中性化セルに満たして共鳴電荷交換反応によって効率的にイオンの中性化が起こることを確認した。ビーム強度の最適化についての再検討が済めば,いよいよ電気通信大学へ装置を搬入して,最終的な測定を行うことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年12月に起きた建屋内の火災によって電気系統に大きな被害が発生し,本課題研究を行っていた実験室のすべての電源が消失した。数ヶ月かけて別の実験室を整理して,新たに実験を再開したが遅れを取り戻すことはできなかった。初年度における計画変更の遅れに加えて,新型コロナ感染症の蔓延による遅れがあり,その上,別な不可抗力によって,さらに計画が遅れることになってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
設計値よりもビーム強度が1桁ほど弱いため,イオンレンズの再設計を行ったところ,数倍の強度向上が見込めることが判ったので,その改造を行った上で,計画最終年度である今年中には電気通信大学の装置と接続して,目標であるX線スペクトルの観測を実施する。
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Report
(5 results)
Research Products
(1 results)