Project/Area Number |
19H00728
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
菅沼 悠介 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (70431898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 淳一 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (00376542)
石輪 健樹 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (10811896)
香月 興太 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 講師 (20423270)
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
板木 拓也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (30509724)
田邊 優貴子 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (40550752)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥44,590,000 (Direct Cost: ¥34,300,000、Indirect Cost: ¥10,290,000)
Fiscal Year 2023: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2019: ¥24,310,000 (Direct Cost: ¥18,700,000、Indirect Cost: ¥5,610,000)
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Keywords | 東南極氷床 / 海底堆積物 / 海水準変動 / シームレス堆積物掘削 / 氷床融解 / 年代測定 / 周極深層水 / 海水準 / GIA / 表面露出年代測定 / 南極氷床 / 海水準上昇 / 将来予測 |
Outline of Research at the Start |
近年,南極氷床の融解や流出の加速が相次いで報告され,近い将来の急激な海水準上昇が社会的に強く懸念されている.そこで本研究は,世界で初めて南極沿岸の湖沼から浅海・深海において時空間的に連続な地層を採取する「シームレス掘削」を行い,海水準上昇の将来予測の高精度化に不可欠な,最終間氷期(約12.5万年前)以降の東南極氷床量変動の定量的復元と,融解開始年代の決定を行う.本研究で確立する国際協力体制と,新開発の地層掘削システムおよび「シームレス掘削」の多方面展開は,南極氷床融解研究における新たな突破口となる.
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Outline of Annual Research Achievements |
最終氷期における東南極氷床の最大拡大域と,その後の氷床融解過程を復元するため,東南極のトッテン氷河沖,ケープダンレー,およびリュツォホルム湾で採取した深海堆積物の高精度放射性炭素年代測定とAuthigenicベリリウム同位体比を分析することで,東南極沿岸地域における氷床→棚氷→海氷環境への変遷過程の復元を進めた.さらに,有孔虫化石の酸素・炭素同位体分析と放射性炭素年代測定から,過去の周極深層水(Circumpolar deep water: CDW)流入の復元とその年代が明らかになってきた. また,国内共同研究者およびノルウェー,スウェーデン,デンマークらの研究グループとの共同研究によって,現地氷河地形調査と採取試料の表面露出年代測定,および氷床・海洋・固体地球モデルシミュレーションを実施し,東南極中央ドロンイングモードランドでは約9000-6000年前頃に東南極氷床が急激に高度を減じたこと,その原因が地域的な海水準上昇であった可能性があることを報告した(Suganuma et al., 2022).さらに,アメリカの研究チームと共同で最新の年代測定手法を導入し,リュツォホルム湾における詳細な氷床後退過程の復元も進めている.このように,分担者による固体地球の粘弾性変形(GIA)モデルシミュレーションだけでなく,氷床・海洋モデル研究者や,他分野・多国籍メンバーによる共同研究の展開によって,共著の国際論文も多数出版されつつある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
第64次南極地域観測隊に参加し,東南極リュツォホルム湾,宗谷海岸域において,浅海・湖沼堆積物の掘削,陸上凍土掘削用ボーリングマシンによる陸上堆積物掘削,および氷河地形調査を実施した.この調査により,宗谷海岸北部においてこれまで得られてなった基盤まで達する浅海・湖沼・陸上堆積物を採取することができた.また,しらせ氷河沿いにおいて表面露出年代測定用の試料を採取することができた. 東南極のトッテン氷河沖およびリュツォホルム湾で採取した深海堆積物試料と,東南極沿岸シューマッハオアシスで採取した湖沼・浅海堆積物試料の高精度放射性炭素年代測定を実施し,年代決定を進めた.また,トッテン氷河沖およびリュツォホルム湾試料については,Authigenicベリリウム同位体比分析を進め,氷床融解過程の復元に取り組んだ.さらに堆積物試料中から極微量の有孔虫化石を収集し,これらの放射性炭素年代測定および酸素・炭素同位体比の測定を進めた.さらに,これまでに採取した宗谷海岸北部で採取した岩石試料の表面露出年代測定も進め,最終氷期以降の氷床後退過程を詳細に復元した.以上の結果を総合して,海洋モデル研究者とも連携することで,周極深層水(Circumpolar deep water: CDW)の流入と氷床・棚氷の後退過程の解明にも取り組みつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は科研費最終年となるため,これまでに採取した堆積物・岩石試料の分析を精力的に進める.とくにトッテン氷河沖については,近過去をターゲットとしたAuthigenicベリリウム同位体比分析を進める.また,引き続き放射性炭素年代測定と年代モデリングを組み合わせ,堆積物コアの年代モデル構築を進める.岩石試料や陸上堆積物試料についても表面露出年代測定も進める.有孔虫の酸素・炭素同位体比測定データを精査することでCDW流入を解析し,海洋モデリング結果と合わせてのCDW流入と氷床・棚氷の後退過程の解明にも取り組む.とくにリュツォホルム湾における氷床棚氷の後退過程については論文出版を進める.
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