Project/Area Number |
19H00930
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 38:Agricultural chemistry and related fields
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
千葉 一裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 学長 (20227325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80749268)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥42,380,000 (Direct Cost: ¥32,600,000、Indirect Cost: ¥9,780,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,100,000 (Direct Cost: ¥7,000,000、Indirect Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2020: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
Fiscal Year 2019: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
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Keywords | 核酸医薬 / 元素置換 / オリゴマー / 化学合成 / 有機合成 / 電解反応 / 中分子 / ペプチド / 核酸合成 / 生物活性物質 / 核酸 / 生物有機化学 |
Outline of Research at the Start |
アザヌクレオシドは極めて優れた機能を有する第四世代の核酸医薬としての大きな可能性を認識されながらも,これらの物質を最終物として確実に得るためには,従前の化学法とは異なる新たな反応原理の導入が必要であり,これまで実用化はもちろん試験レベルの合成法も見いだされていないことが核酸医薬の進展を阻む一つの大きな問題点となっている.本研究では、このアザヌクレオシドの基本構造ならびに化学構造の拡張性の高い誘導体やオリゴマー形成による中分子を,高純度,大量に得るための革新技術を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
一般の化学合成法だけでは達成することが困難な, 次世代核酸医薬であるアザヌクレオチドオリゴマーを高純度品として大量供給できる新たな化学反応法に関する学術基盤を確立し,医薬品,農薬としての実用化開発に対応できる構造の多様化,機能拡張に展開することを目的とする.核酸医薬は低分子医薬,抗体医薬に続く次世代の革新的医薬品として期待されているが,その中でも第四世代の核酸医薬の一つに位置づけられているアザヌクレオシドは,天然型核酸構造の一部の酸素原子を窒素原子に置換した基本骨格を有し,従前の核酸医薬候補物質を凌ぐ優れた機能や活性が確認されている.しかし,その化学合成法は多段階を要し,必要量を得るためには大きな困難を伴う.本研究では申請者がこれまでに独自に開発した有機電解反応法および,逆ミセル液相反応を基軸とした中分子の化学合成法を進展させることにより,従来法では達成困難な各種アザヌクレオシド誘導体の体系的合成法を拓く.すなわち,アザヌクレオシドを構成ユニットとするアザヌクレオチドオリゴマーを極めて短工程で効率的に得ることによって,次世代核酸医薬開発の飛躍的進展に寄与する. 本研究では研究代表者が実証してきた低電位電解カチオン発生法(Redox タグ法)を導入することを特徴とする.この方法は核酸塩基導入前に電子供与基を有する芳香環などのRedox タグを導入する.これは隣接する窒素上に任意の置換基が導入されていても分解しない.さらに,その後で穏やかな電解酸化条件でタグを外すと同時に,望みの核酸塩基を導入するものである.本研究では,この方法を立体選択的な核酸塩基の導入法と併せて実施することに成功した.RNA型およびDNA型N-αアザヌクレオシドの合成法として一般化できるものと期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
C-アザヌクレオシドは天然の核酸とは異なり,核酸塩基部分の炭素(C)がピロリジン環の炭素(C)との間で炭素-炭素結合を形成してアザヌクレオシドを構成するものである.C-アザヌクレオシドはN-アザヌクレオシドとは異なり核酸塩基のリボースに相当する部位(ピロリジン環)への結合は強固であり,さらにピロリジン環を構成する窒素の置換様式は多様に変換が可能である.窒素上に置換基を導入しない物質もその構造は安定であり,この構造は天然の核酸が酵素変換される遷移状態と極めて類似性の高い構造となる.すなわち,プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)などに対する強い拮抗阻害剤としての活性を示すものも見いだされており,これら類縁対の化学合成法を確立することは大きな意義がある. C-アザヌクレオシド合成に関する課題点とその克服方法としては,核酸塩基アナログの炭素部分をプロリノール上に発生させたカルボカチオンといかにして立体選択的に反応させることができるかが課題となる.その目標を達成するためには,反応性の高いカチオンを温和な条件で発生させながら,同時に核酸塩基アナログがこのカチオンを攻撃できる反応システムの構築が必要となる.本研究ではこれらの観点からの反応条件の解明を行った.その結果,電解法によるC-アザヌクレオシド類縁体の合成に成功した.これは,従前の化学合成法では極めて困難であった目的物について,電解法を導入することにより達成したものであり,今後の応用展開の広さを踏まえ、当初の計画以上に進展した成果であると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
高純度,大量合成可能なオリゴヌクレオチドの液相フラグメント合成法を確立することを目的とする.分子量が数千程度にもおよぶ核酸系中分子を精密に合成するためには,必然的に数十ステップもの化学反応と反応毎の分離精製操作が必要になる.従って,各反応は副生成物の発生を抑制しながらほぼ定量的に完結させなければならない他,反応,分離,精製も極めて迅速かつ簡易な操作で実施できなければならない.さらに活性試験や医薬品等としての実際の製造工程への応用展開を考えると,膨大な試薬や溶媒を使用し数十回の反応,精製操作を繰り返した結果,ようやく最終目的物が数十ミリグラムだけ得られるということでは全く不十分であり,100グラム-数キログラムの目的物が,殆ど精製操作無しに少なくとも最終純度99.5%以上の高純度品として得られるものでなければならない.この極めて高いハードルをクリアするためには,操作が簡便である現行の固相合成法の概念としてのメリットを確保しつつ,反応プロセスや化学反応そのものにも全く新しい学術基盤の構築と革新的手法の導入が必須となる.従って,今後は研究代表者らがこれまでに開発した疎水性タグに核酸ユニットを順次結合,伸長させる方法を応用することにより,大量かつ迅速な化学合成法を確立する.反応開発においては,伸長反応並びに脱保護反応各段階の反応収率がほぼ定量的に進行すること,生成物の回収等についても満足できる高い効率性を伴うものである点が重要である,これらの条件をクリアするための新しい方法論の開発を推進する.
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