Project/Area Number |
19H01114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 61:Human informatics and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山西 健司 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (90549180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝岡 亮 聖隷クリストファー大学, 看護学研究科, 臨床准教授 (00362202)
大西 立顕 立教大学, 人工知能科学研究科, 教授 (10376387)
谷戸 正樹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30284037)
渡辺 努 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (90313444)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥45,110,000 (Direct Cost: ¥34,700,000、Indirect Cost: ¥10,410,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2019: ¥9,750,000 (Direct Cost: ¥7,500,000、Indirect Cost: ¥2,250,000)
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Keywords | 予報情報学 / 機械学習 / データサイエンス / 異常検知 / 変化検知 / 予兆情報学 / 緑内障進行予測 / 埋め込み / 経済予兆検知 / 潜在構造変化検知 / 経済危機予測 |
Outline of Research at the Start |
ビッグデータ時代においてデータから危険事態の発生や変化を早期検知することは重要な課題である。本研究では時系列データから変化や異常の予兆を早期検知するための科学的方法論を開発し、「予兆情報学」の確立をめざす。そのために数理・物理予兆情報学、経済予兆情報学、医療予兆情報学に分けて実施する。数理予兆情報学では、データの背後にある潜在空間の構造変化に注目し、異常や変化の予兆を検知するための数理的方法論を確立する。経済予兆情報学では、経済危機の予兆を不動産データからの異常検知として発見する方法論を確立する。医療予兆情報学では、多様な検査データを統合し、脳疾患の発症や緑内障の急速な進行の予兆検知をめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
数理予兆情報学、医療予兆情報学、経済予兆情報学に分けて、基礎的手法を発展させ、検証を推進した。 数理予兆情報学では、データ生成機構の構造の変化を特性付ける指標としてMixture Complexity(MC)を提案し、Entropy誌に採択された。パラメータの数が時間と共に変化するような場合、MCはパラメータ数を連続値で計測する指標であり、MCの立ち上がりを検知することで、潜在構造変化の予兆を検知することが可能になった。また、潜在空間埋め込みの次元推定理論をユークリッド空間から双曲空間へと拡張した。そこでは分解型正規化最尤符号長を規準として最適な次元を推定する方法を提案した。また、潜在構造変化検知に位相データ解析を融合する手法を提案し、共にICDM2022にて発表した。 医療予兆情報学では、664眼の緑内障眼の中心10度視野を用いてGuided Progression Analysis定義による進行検出の特異度を調べ、99.6%を達成した。この定義の有意水準を調整して、特異度95%になる定義を新たに作成した。500眼の中心10度視野を用いた解析の結果、新提案の定義は有意に進行検出の感度が良かった。本成果はBritish Journal of Ophthalmologyに掲載された。また、大規模視野データの解析により,中心10-2視野検査の信頼性指標に関連する因子のモデル解析を行った。 経済予兆情報学では、パンデミック下において貨幣に対する家計や企業の需要が大きく増大した理由を明らかにするとともに、それが銀行危機の引き金となる可能性について実証的な検討を行った。また、銀行送金に関する時系列データを取得し,企業間の送金ネットワークの統計性を解析した。送金ネットワークはスケールフリーネットワークであり、ページランクやポテンシャル値などの中心性指標が時間変動していること等を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
数理情報学については、Mixture complexityの開発、及び位相的データ解析の導入により、潜在構造変化検知の基本手段を確立したといえる。また、予兆検知にとって重要な潜在空間の構成において、双曲空間の次元推定手法を確立したことの意義は大きい。なぜなら双曲空間はAIの知識表現でよく用いられる階層的データの表現空間として重要であるからである。 また、医療予兆情報学では、新たな緑内障進行検知の感度の新定義を通じて、緑内障進行予測の研究を発展させた。経済予兆情報学ではパンデミック下における経済状況変化の予兆を分析する基礎を築いた。さらに銀行送金データの変化解析を通じて、経済が銀行送金との関係を明らかにする基礎を築いた。 以上の理由により、本研究は当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
数理予兆情報学では、予兆検知に重要な役割を果たす潜在空間の構成と活用を重視し、以下の問題に取り組む。1)ネットワークデータの潜在空間埋め込みを用いた新たな変化検知手法の構築、2)ネットワークデータ埋め込みの対象となる双曲空間の次元推定法の高精度化、3)双曲空間埋め込みの汎化損失解析の改善、4)ガウス混合モデルを用いた潜在空間モデリングによるネットワーク増幅、5)ネットワークの要約と変化検知の最適なバランシング。 医療予兆情報学では、眼科画像・頭部RI画像および全身検査データベース構築を計測し,解析データソースの拡充を行う。新たな予測因子の導入により,全身検査パラメータによる眼球内の変化予測精度の向上を目指して研究継続を行う。また、さらに精度の良い進行予測モデルを構築する計画である。 経済予兆情報学では、貨幣需要と銀行危機の関係を明らかにすることにより、貨幣需要の変化から銀行危機の予兆をつかむ手法を開発する予定である。また、送金ネットワークの変化点検知の研究では,平均送金量や最大連結成分の大きさ、自己ループの最短経路長など、基礎的な統計量に注目したものからグラフラプラシアンに注目した複雑なものまで,さまざまな形で検出できる手掛かりを得ている。今後、これらの解析をさらに進めて、経済危機の予兆を検知する手法を開発する。
上記を総括し、最終年度の結果としてまとめ上げる。
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