Project/Area Number |
19H02014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大路 樹生 名古屋大学, 博物館, 特任教授 (50160487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井龍 康文 東北大学, 理学研究科, 教授 (00250671)
高柳 栄子 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40729208)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
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Keywords | カンブリア爆発 / 海洋動物の多様性 / 多細胞動物の多様化 / モンゴル / 成長解析 / カンブリア紀 / エディアカラ紀 / オルドビス紀 / Isoxys / 日立変成岩類 / ウミユリ / 化石化過程 / 適応放散 / 多様性変動 / カンブリア系 / エディアカラ系 / 藻類化石 / Chinggiskhaania / 多様度 / 回復現象 / 大量絶滅後の回復現象 / 海洋底生動物 / サイズ変化 / 多様性変遷 / 堆積環境 / 多様性 / 進化 / 多細胞動物 / 全球凍結 |
Outline of Research at the Start |
原生代末期から古生代最初期のカンブリア紀にかけ、大規模な氷期イベントの終了後、多細胞動物の出現と急速な進化が行われた。しかし地質・古生物記録の乏しさから、その実態に関してはほとんどが未解明である。当研究では、モンゴル西部地域の連続するエディアカラ系~下部カンブリア系連続層序などをターゲットに、氷期からカンブリア紀前期に至る生物進化事変を実証的に明らかにすることを目標とする。特に動物体の行動の化石である生痕化石、小型有殻化石、堆積岩の化学分析に基づく環境復元に焦点を当て、多細胞動物(特に左右相称動物)の初期進化の実態の解明と、より確実なデータに基づく当時の生態系の復元を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
モロッコのFezouata地域から産するオルドビス紀前期の化石群は、カンブリア紀の「生き残り」の動物群を多く含み、オルドビス紀の生物大放散事変の実態を知るうえ上で重要である。Fezouataから産出した一つの節足動物化石の詳細な検討を行い、これがカンブリア紀から多く産出するIsoxys類の生き残りである可能性を検討してきたが、アメリカのイェール大学のPeabody Museumに保管されている多数のFezouata産節足動物化石を検討した結果、研究中のIsoxys類似の節足動物化石が、従来報告されたどの種にも当てはまらない新しい種類であることが判明した。よってカンブリア紀に繁栄したIsoxys類はオルドビス紀まで生き残り、しかも大型化している可能性が示された。Isoxys類がオルドビス紀に大型化した理由の一つとして、その食性の変化が考えられる。 茨城県日立市の高鈴山南東麓には日本で唯一、広くカンブリア系が分布することが確認されているが、その分布域に含まれる石灰岩層(通称「金山石灰岩」)中に含まれるウミユリ化石の検討を行った。さらに石灰岩に含まれる砕屑性ジルコンの年代測定を行った。ウミユリ化石は茎のみが産出し、その特徴的形態からアメリカの石炭系下部から知られているCyclocion属に類似することが分かった。またジルコンの年代測定の結果からこの石灰岩がやはり石炭系であることが分かった。したがってこの石灰岩はカンブリア系ではなく、カンブリア系に挟まれた石炭系の地層であることが判明した。今後はウミユリ化石の記載と現地の地質構造の解釈が必要となる。またウミユリ化石等、単結晶からなる骨格を持つ動物化石は変成岩中でも保存される可能性が高いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、モンゴルを中心としたフィールドワークとその成果に基づく地質学的、古生物学的研究に限ることなく、他の時代の適応放散現象や多様化、そして化石化過程の研究なども行い、カンブリア爆発の総合的な研究に役立てることを目指すようになった。その結果、日本の日立のカンブリア系に含まれる結晶質石灰岩中の化石の研究や、カンブリア紀に続く多様度急上昇が見られるオルドビス紀前期の化石の実態についても新たな研究成果を生み出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
モンゴルのエディアカラ系、カンブリア系の地質学と古生物学、特に藻類化石の分布と多様性に関する研究、また茨城県日立地域のウミユリ化石に関する古生物学的研究、そしてモロッコのFezouata地域からの巨大なIsoxys類の化石の記載、さらにはアメリカ西部の白亜系の化学合成生態系と考えられるウミユリ化石の詳細な形態分析等、多岐にわたる研究を同時に進め、成果を発表していく計画である。
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