観光化が進む世界遺産の歴史的都心における住環境の変化と課題の考察
Project/Area Number |
19H02327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23030:Architectural planning and city planning-related
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
吉良 森子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 客員教授 (10739840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小岩 正樹 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (20434285)
小浦 久子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (30243174)
木谷 建太 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), その他(招聘研究員) (50514220)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥15,080,000 (Direct Cost: ¥11,600,000、Indirect Cost: ¥3,480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 観光都市の持続性 / 都市観光 / 歴史的都市の持続的発展 / グローバル時代の観光と都市居住のバランス / アグリツーリズムと都市観光の共存 / 歴史的都市の持続的発 / 都市の近代化と観光の発展 / 市民活動による歴史的都市の暮らしの保持 / 自治体・市民・事業者を横断するプラットフォーム / グローバリズム時代の都市居住と観光の課題 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、オランダ・アムステルダム、日本・京都、ベトナム・フエ、カンボジア・シ ェムリアップの4つの「歴史的都心(historic urban center)」における、観光の発展に伴う住環境の変化を明確化し、また、その変化に対する各都市の現状の政策と住民意識の相関を解明することで、歴史的に形成されてきたその都市らしさの魅力ゆえの観光発展と弊害に関する各々特有の4都市間の比較考察から、住民生活と観光の持続的あり方に向けての政策、イニシアティブ、コミュニケーションの戦略的方法を抽出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はコロナ禍で海外での視察を計画することは困難と考え、勉強会を行った。2022年3月にフエの視察を行った。グエン朝の皇帝廟を視察し、フエ市の保存センター、住民にインタビューを行った。また、市内にあるアグリツーリズムを訪ねてインタビューをした。
フエは観光の中心である皇帝廟は郊外に点在し、都市の中心は、フォン川を挟んで王宮のある宮城地区と植民地時代にフランスによって開発された新市街に分かれている。観光ホテルは新市街にあるのでフォン川北側の宮城地区とその周辺に観光客が集中しているわけではない。 宮城内は観光のための店舗やカフェも点在しているが、現時点では住民との暮らしに影響を与えるほどではない。本研究の他の都市と比較すると、古くからの生活習慣や暦に沿った暮らしが継続されている様子が見られた。住宅の中心に先祖代々を祀り、街角には近隣のためのお参り場所がみられた。宮城内の建物は伝統的な木造の町家や戸建て住宅からブロック積みのヨーロッパの洋式建築を模した町家に建て替えられ、伝統的な町家保存の意識はあまり見られない。伝統的な住宅や町家を観光客が見学できる場所も多少は見られたので、観光によって伝統的な街並みの価値が意識される可能性もある。これは京都で歴史的な町家が観光やニ拠点居住によって保存が促進されたことに通じる。
フエの皇帝廟はそれぞれの廟において異なる世界観・周辺の自然へのビジョンの違いが示されている。そのことでアジア建築の人間の自然への敬意を印象付け、ヨーロッパの建築文化財との違いが際立った。自然との共生がテーマである21世紀に新しいメッセージとなっていくのではないか。市街地の近くの農地ではアグリツーリズムがある。歴史的都市・文化財の観光とともに農業や自然の観光があることは、都市と農地・自然を別世界ととらえず、共存する存在として示す21世紀的なメッセージである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象の4都市すべての視察を行って、それぞれの都市の状況、違いを認識することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
歴史的都市の観光はそれぞれの都市の固有性が根本にあり、同時にそれがどのように展開していくのか、そしてその展開がこれからの時代にどのようなインスピレーションを与えていくのか、ということが持続性の鍵であると考える。フエの皇帝廟と都市と自然の関係は他の都市とは異なるモデルであり、フエの調査によって認識したことをもとに他の都市に立ち戻って研究の成果としてまとめる。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)