イネ種子の細胞内物質貯蔵における小胞体機能タンパク質の機能解明とその育種的利用
Project/Area Number |
19H02933
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39010:Science in plant genetics and breeding-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊丸 敏博 九州大学, 農学研究院, 教授 (00284555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 貴彦 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00370148)
牛島 智一 摂南大学, 農学部, 講師 (50815058)
藤田 直子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (90315599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | イネ / オルガネラ / 機能解析 / 貯蔵タンパク質 / 澱粉 / 種子 / 突然変異 |
Outline of Research at the Start |
貯蔵タンパク質の細胞内輸送や蓄積に異常をきたしている突然変異体では、貯蔵タンパク質組成の変化とともに異常な澱粉粒の形成が認められる。植物の物質貯蔵機能の理解のために、小胞体機能タンパク質の貯蔵タンパク質の輸送・蓄積と澱粉合成代謝における機能、小胞体機能タンパク質と加工特性等との関係を解明する。本研究の成果は、優れた加工特性や新奇機能性を有するコメの開発に寄与する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1、プロラミンの小胞体内への蓄積機構解明 esp3 変異は複数のCysR(cysteine rich)プロラミン分子を欠失する。Mutmap法によってESP3候補遺伝子として検出した遺伝子について、サンガー法によって当該候補遺伝子のゲノム塩基配列を解析した。その結果、esp3変異体において当該遺伝子にSNPは認められなかった。そこで、再度MutMap法による連鎖解析を行うためにesp3系統と野生型との交雑F2個体の自殖種子を用いて野生型とesp3ホモF2個体をそれぞれ約30個体選抜した。 2、グルテリン前駆体の小胞体からの小胞輸送機構解明 グルテリン前駆体を多量に蓄積する突然変異であるGlup1及びglup7の原因遺伝子同定のために、MutMap法を用いて両遺伝子の染色体上の位置を推定した。MutMap法による連鎖解析の結果、Glup1及びglup7において、遺伝子候補領域内に膜交通に関与する因子と輸送小胞の構成因子のそれぞれをコードする遺伝子にSNPが認められた。 3、小胞体タンパク質と澱粉合成代謝制御との関連性解明 プロラミン分子種の蓄積が変化したesp1、esp3、Esp4変異種子及びグルテリン前駆体を多量に集積するesp2変異種子における澱粉合成関連酵素を解析した。登熟種子から抽出したタンパク質を用いてNative-PAGEによるSS、BE、DBEの活性染色、完熟種子から抽出したタンパク質を用いてSS、BE、ISA、PUL、Pho特異抗体によるウエスタン分析によってタンパク質量を解析した。いずれの系統においても澱粉合成関連酵素の活性と量は野生型と大差なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、プロラミンの小胞体内への蓄積機構解明 前年度に検出したesp3 変異の原因となる候補遺伝子にSNPが検出されなかったことものの、再度のMutMap解析により候補遺伝子が検出される可能性が高い。 2、グルテリン前駆体の小胞体からの小胞輸送機構解明 Glup1及びglup7変異体についてそれぞれ候補遺伝子を検出することができた。今後の解析により原因となる遺伝子の特定とその機能が明らかになることが期待される。 3、小胞体タンパク質と澱粉合成代謝制御との関連性解明 esp1変異体、esp2変異体、esp3変異、Esp4変異体種子における澱粉合成関連酵素の活性とタンパク質量は野生型と大差なかったことから、これらの変異体の原因となる因子は澱粉の形質に影響を及ぼさないことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1、プロラミンの小胞体内への蓄積機構解明 MutMap法によりesp3 変異の原因となる候補遺伝子を明らかにする。 2、グルテリン前駆体の小胞体からの小胞輸送機構解明 Glup1及びglup7において、膜交通に関与する候補遺伝子と輸送小胞の構成因子の候補遺伝子遺伝子発現解析とサンガー法によるゲノム遺伝子塩基配列解析を実施すると共に相補性検定に必要な遺伝子コンストラクトの構築に取り掛かる。両変異体胚乳におけるグルテリン前駆体の集積部位を免疫蛍光顕微鏡解析、免疫電子顕微鏡解析により明らかにする。 3、小胞体タンパク質と澱粉合成代謝制御との関連性解明 グルテリン前駆体を多量に蓄積するGlup1、Glup5、glup7変異体の解析を進める。登熟種子における澱粉合成関連酵素 (基質合成酵素、澱粉合成酵素、澱粉枝作り酵素、澱粉枝切り酵素等) の活性とタンパク質発現を、それぞれNative-PAGE活性染色法とウエスタン法を用いて解析する。イネの澱粉合成代謝制御における小胞体タンパク質の役割の解明のために、野生型と各変異体の登熟種子を用いて、メタボローム解析(CE-TOF/MS解析等)及びトランスクリプトーム解析(マイクロアレイ解析等)を行い、澱粉代謝関連遺伝子群・酵素群等の発現変動を網羅的に解析する。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)