Project/Area Number |
19H02959
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹田 篤史 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60560779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海道 真典 摂南大学, 農学部, 准教授 (20314247)
松村 浩由 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30324809)
岩崎 信太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (80611441)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2019: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
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Keywords | RNAサイレンシング / 植物ウイルス / 複製 / AGO2 / DCL2 / RNAサイレンシングの活性化 / ウイルス複製 / RNAサイレンシングサプレッサー |
Outline of Research at the Start |
植物は、RNAサイレンシングを利用してウイルス感染を防ぐ。近年の研究から、ウイルス感染に応答してRNAサイレンシング経路が活性化されることが明らかになってきた。しかし、植物がウイルスの何を認識して、どのようにRNAサイレンシング関連遺伝子の発現を誘導するのかは不明である。本研究では、RNAサイレンシング関連遺伝子の発現を誘導するのに必要なウイルス側の因子を同定し、ウイルス感染時に生じるRNAサイレンシング活性化の分子機構を明らかにする。また、RNAサイレンシングが活性化された状態で、ウイルスがどのようにRNAサイレンシングを回避して感染を成立させているのかを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ウイルス感染時に認められるRNAサイレンシング関連遺伝子群の発現が活性化される機構を明らかにすることである。令和4年度には、主にAGO遺伝子の発現誘導に着目して以下の実験を行った。 AGO遺伝子の発現誘導に関与するウイルス因子に関して:ベンサミアーナタバコでアグロインフィルトレーションによってred clover necrotic virus (RCNMV)のゲノムRNAまたは個別の遺伝子を様々な組み合わせで発現させた。令和3年度に新たに選定し直したリファレンス遺伝子を用いてRT-qPCRを行なった結果から、RCNMVの複製が起こる条件においてのみAGO2遺伝子の発現誘導が起こることが再確認された。また、RCNMV RNAの5'UTRを置換した変異体を用いた実験から、RNAサイレンシング抑制とAGO2遺伝子の発現誘導の切り分けに成功した。さらに、TBSVのp19やCMVの2bの発現によるRNAサイレンシングを抑制しただけの状態でもAGO2遺伝子の発現が誘導されないことも確認した。以上の結果から、RCNMVの複製過程でAGO2遺伝子の発現が誘導されるためには、RCNMVのマイナス鎖RNA合成だけでなくプラス鎖RNA合成も必要であることが確認された。これらの結果は、植物ウイルスの複製によってウイルス抵抗性に必要なAGO2遺伝子の発現が誘導されることを示している。本研究成果は、植物細胞内には植物ウイルスの複製を感知するセンサーと、その植物ウイルスの複製情報を核内に伝えるメッセンジャーが存在することを示唆しており、植物病理学上非常に重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複製酵素複合体の構造解析に取り組んでいた大学院生の休退学や、研究代表者のコロナ感染とその後の入院などの影響もあり、前年度までの遅れを取り戻せていないため、「(3)やや遅れている。」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度までの進捗状況を踏まえて、令和5年度には以下の実験を行う計画である。 AGO2遺伝子の発現誘導に必要なウイルス因子の同定および機能解析:p27, p88の変異体を用いた実験を行い、RCNMV複製とAGO2遺伝子の発現誘導の正の相関関係をさらに裏付けた後、論文を投稿する。引続き、dcl欠損Nicotiana benthamianaでの複製酵素複合体の大量発現を試み、構造解析を目指す。 AGO2遺伝子発現誘導の経時的解析:N. benthamianaのプロトプラストを用いて、RCNMV感染時におけるAGO2遺伝子の発現変動を経時的に調べる。N. benthamianaにAGO2P:ホタルルシフェラーゼのコンストラクトの組込みを完了させ、ウイルス感染時における転写レベルでのAGO2発現誘導を定量的に解析するための系の構築を完了させる。この植物由来のプロトプラストを用いてRCNMV感染に対するAGO2プロモーターの応答を経時的に解析する。 AGO2遺伝子発現誘導に関与する遺伝子の遺伝学的な同定と機能解析:シロイヌナズナにおいて、AGO2プロモーター制御下でルシフェラーゼを発現する組換え植物の選抜を行い、系の確立を試みる。ラインを固定できたら、T2植物を用いてウイルス感染に応答して発光強度が上昇するかどうかを定量的に検証する。発光強度の上昇を確認できたら、EMSによる変異源処理を行い、AGO2遺伝子の発現誘導に関与する遺伝子のスクリーニングを開始する予定である。 AGO2遺伝子を過剰発現する植物の作出と機能解析:引続き、35Sプロモーター制御下でAGO2を過剰発現する組換えN. benthamianaの作出を試みる。ラインを固定できたら、T2植物においてAGO2過剰発現がウイルス感染に及ぼす影響を検証する。
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