Project/Area Number |
19H03032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40030:Aquatic bioproduction science-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大塚 攻 広島大学, 瀬戸内CN国際共同研究センター, 教授 (00176934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 修 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40232037)
平山 真 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 講師 (40535465)
田角 聡志 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (90359646)
近藤 裕介 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 特任助教 (90848087)
浅川 学 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (60243606)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2019: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | ウオジラミ / 宿主特異性 / 生活史 / テトロドトキシン / 外来種 / ウオジラミ科 / 発生段階 / 系統分類 / ヒジキムシ科 / 魚類寄生虫 / シロウオ / トラフグ属 / マダイ / テトロドトキシン(TTX) / クチクラ / 吸盤 / カイアシ類 / トランスクリプトーム / RNA-seq / 成長段階 / 次世代シーケンサー |
Outline of Research at the Start |
ウオジラミ類は世界規模で様々な養殖魚類に甚大な被害を与える寄生虫だが、宿主特異性、生活史、生理機能については未解明な点が多い。宿主特異性に関与する分子メカニズムを明らかにすることが本研究の目的の1つである。生活史は可変性があり、中間宿主を持つもの、宿主転換を行うものが知られているが、各タイプの宿主を明らかにする。有毒トラフグ類に寄生するフグウオジラミは宿主に感染すると後天的にテトロドトキシンを体内に蓄積するが、その生理的意義や分子メカニズムを最先端技術を用いて解明する。さらに、ウオジラミ類が宿主へ付着する作用機序を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
1)外来種と考えられ、マダイを主な宿主とするゴウシュウウオジラミCaligus sclerotinosusが瀬戸内海において養殖魚だけでなく、天然魚にもすでに拡散して通年、寄生していることを明らかにした。特に暖水期には80%を超える高い寄生率が確認された。本種の発生段階数はウオジラミ属で一般的に知られるステージ数(ノープリウス期2期、コペポディド期6期)であり、中間宿主を持たないことが明らかになった。養殖魚、天然魚を問わず、宿主上で成体に極端に偏った成長段階組成(90%以上)が見られるが、生殖時期が限定的であり、幼体の成長速度が早いことと成体の寿命が長いことで説明できる。 2)マダイに寄生するゴウジュウウオジラミとLepeophtheirus sekiiの成体の食性について、染色による組織学的解析を行った。両種とも宿主の粘液を主に摂取しているが、後者では血液も摂取している傾向があった。 3)セトウオジラミCaligus fuguはクサフグなどに寄生を開始すると同時に宿主の粘液を通してテトロドトキシン(TTX)を自らの組織の一部に蓄積する。RIPAバッファーを用いて個体全体のタンパク質を抽出し、TTXをリガンドとしたアフィニティー精製に供してTXと結合するタンパク質を単離した。LC-MS/MSに供し、タンパク質の同定を試みたが、ビテロジェニンをはじめとしたタンパク質が同定された。一方、本種の発現遺伝子リストの中からは既報のTTX結合タンパク質と相同性を持つ塩基配列が複数認められ、ビテロジェニンの構成ドメインをコードする塩基配列も含まれていた。 4)ヒジキムシ科7属の18S、28S rDNAの塩基配列を基に系統解析を行った結果、3つのクレードが確認され、外部寄生性から内外部寄生性へ進化的に移行したこと、鰓腔という狭い空間に適応して卵嚢が直線状からコイル状に変化したことが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ウオジラミ科の発生段階の用語をポーランドの研究者と整理することができた。これまでノープリウス幼生以降のステージについて、copepodid、chalimus、preadultなる用語が使用されていたが、厳格に定義ができないことを指摘し、カイアシ類で一般的に提唱されているcopepodid I-Vを使用することを提案した。また、ウキウオジラミCaligus undulatus、ゴウシュウウオジラミC. sclerotinosusの生活史をほぼ解明できた。前者の生活史は現在、SCI雑誌に投稿中である。後者については本年度に国際学会(オンライン)にて口頭発表を行った。マダイの体表に寄生する本種とLepeophtheirus sekiiの成体雌の食性について組織学的解析を行ったが、両者とも宿主の粘液を主な餌としているが、後者では血液を摂取している傾向を発見できた。セトウオジラミ Caligus fuguはトラフグ属宿主に寄生生活を開始すると宿主由来の粘液を摂取することによって体内にテトロドトキシン(TTX)を蓄積するが、TTX結合タンパク質を発見できたので国内学会で発表した。ヒジキムシ科7属の分子系統学的論文を発表したが、この中で認識できた3つのクレードの形態的定義を行い、各クレードにおける宿主特異性、産卵生態について議論できた。本研究は連合王国の研究者と国際共同研究の成果である。また、セトウオジラミなど様々な寄生性カイアシ類の宿主であるクサフグが河川を遡上する現象を寄生虫学的観点から説明できることを確認した。鰓、体表に寄生するカイアシ類の一部が河川で脱落しているのである。今後、この現象を実験室で再現する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)外来種と考えられるゴウシュウウオジラミCaligus sclerotinosusの発生段階、生活史、成長速度、成体の寿命、宿主特異性、宿主上で極端に成体に偏った成長段階、同一宿主上での他のウオジラミ類との競合関係に関する総合的データを取得したので論文として投稿予定である。また、瀬戸内海に生息するゴウシュウウオジラミの個体群およびオセアニアでの導入元個体群の遺伝的多様性を比較、検証する。 2)セトウオジラミCaligus fuguから発見されたTTX結合タンパク質を同定した後に論文として投稿予定している。 3)セトウオジラミのTTX毒性耐性について室内実験を行う。 4)マダイに寄生するゴウジュウウオジラミ 及びLepeophtheirus sekiiの成体の食性について、染色による組織学的解析に加えて、GS-MS/MSによる化学成分分析を行い、宿主上での寄生部位、宿主の寄生による組織的変化(病状)との関連性を明らかにする。 5)クサフグを宿主とする寄生性カイアシ類の塩分耐性を実験室で検証する。 6)形態形質に基づいたウオジラミ属の7種群の妥当性を分子を用いて検証する。この他、ヒジキムシ科の1未記載属、ツブムシ科Chondracanthidaeの2未記載属を入手したのでこれを記載し、論文として投稿する。後者では、本2属を含んだ科内には第1、2胸脚の節、エレメントに一連の顕著な退化傾向があるので、この進化的傾向を解析する。
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