Project/Area Number |
19H03062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 41020:Rural sociology and agricultural structure-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 洋憲 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80360387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 吉隆 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (10463225)
田中 勝也 滋賀大学, 経済学系, 教授 (20397938)
井上 憲一 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (60391398)
田口 光弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 上級研究員 (90391424)
小川 景司 神戸大学, 農学研究科, 助教 (80964006)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥15,080,000 (Direct Cost: ¥11,600,000、Indirect Cost: ¥3,480,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2019: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
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Keywords | 農業経営 / ステークホルダー / 持続可能性 / 水田経営 / 持続性 |
Outline of Research at the Start |
近年,日本においても大規模経営への農地集積が進みつつある。一方で,農村部からの人口流出や高齢化,コミュニティの喪失や不在地主化といった問題も生じている。こうした中で,農業経営がステークホルダー(SH)との関係を良好に維持しつつ,経営自体の持続性を高めるようなマネジメントを達成するための,理論的・実践的な知見の提供が求められている。そこで本課題では,「土地利用型経営が,いかにしてSHの期待に応え,持続的な農業経営,農村社会を維持していけるのか,そのための実践的手法および政策は何か」という課題の解決を目的として,定量的評価および実態分析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
滋賀県の集落営農法人を対象とした事例分析より,財務を安定させつつ労賃を増やして人的資源確保を達成するためには,若手世代への作業配分が重要であること,地域内の関係構築は,人的資源の確保につながる有効なSHMであることが示された。2020年度に実施したアンケート調査結果の分析より,若手専従者の確保は総合的な持続性を高める有効なSHMであり,多様なSHの組織参加と多角化の進展が関連していることが示された。さらに,湖東地域分を中心に集計・分析を行い,法人の持続可能性および構成員意識と法人に対する評価に着目して検討した。 コミュニティ・ビジネスにおけるSHの役割と関係について分析した結果,中心となる農業経営が各SHとの互恵関係を基礎に,通年での雇用システムを構築するなど地域振興に徹していること,地域外SHとのネットワーク構築が経営資源の獲得や新たなSH獲得の契機となっていること,農村リーダーが各SHのハブとなってネットワーク構築していることが示された。 人的資源管理面について,雇用型経営では圃場別作業時間や従業員別所要時間を把握したい経営者が増えており,これらの記録を用いて,作業計画策定や圃場別生産原価および適正作業人員の把握意向があることが示された。 滋賀県内90集落の販売農家900戸を対象に,生態系保全における成果連動型支払(PFS)に対する選好を選択型実験により尋ねた。その結果,回答農家は全体としてPFSによる支払に対して肯定的であること,支払単価,達成基準(圃場で確認される水鳥の種数),成果の確認方法が重要であることが示された。また石川県羽咋市では,現地JAと共同で農家の全戸調査を行い,詳細なPFSによる選択型実験をおこなった。その結果,成果指標として水田の一般的な種(サギ類,アカネ類)が選好されること,PFSに参加する農家は比較的軽度な保全型農業を選択する傾向が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクトの進捗状況はおおむね良好である。2020年度以降,複数地域で実施してきたSHマネジメントに関わるヒアリング調査及びアンケート調査結果の集計・分析を進め,特に,滋賀県湖東地域におけるアンケート調査では,構成員を対象に収集した大規模なデータに基づく分析を行うことができた。これらについて関連する成果が公表ないし公表準備が進められている。 ただし,新型コロナウイルス感染症の拡大にともなって,対象地域でのヒアリング調査や調査設営,および結果解釈に必要なフィードバックのための打合せが困難になっており,国際調査はすべてキャンセルとなっている。調査対象者や協力機関も対応に追われているため,依然として関連するヒアリング調査の実施が難しく,今後の進捗に影響することが懸念される。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,アンケート調査の分析結果のとりまとめ,および追加のヒアリング調査を実施し,SHマネジメントの特徴や構成員の意識,評価などとの関連性を明らかにする。成果連動型支払(PFS)を含む環境直接支払におけるSHMの役割に焦点を当てた研究を推進する。 また,調査結果の概要について,関係機関及び農業経営者向けの研修会などでアンケート調査協力者へのフィードバックを行い,プロジェクトとしての分析結果の最終的な解釈につなげる。 ただし,新型コロナウイルス感染症の収束状況により,実施地域,時期,方法については引き続き検討する。
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