耐性菌パンデミック回避を目指す下水処理システムの最適化
Project/Area Number |
19H04330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64050:Sound material-cycle social systems-related
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Research Institution | Kisarazu National College of Technology |
Principal Investigator |
大久保 努 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (60581519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 繁樹 木更津工業高等専門学校, 環境都市工学科, 教授 (60300539)
井口 晃徳 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (60599786)
安井 宣仁 近畿大学工業高等専門学校, 総合システム工学科 都市環境コース, 准教授 (90547481)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2019: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 薬剤耐性菌 / 下水処理 / 消毒システム / 耐性大腸菌 / 耐性遺伝子 |
Outline of Research at the Start |
世界的に使用量が増大している抗生物質はヒト用医薬品や畜産養殖用として投与され,病気の拡散や細菌の増殖・機能を阻害するために使用されている。しかしながら近年,抗生物質が効かない抗生物質耐性大腸菌が出現し,2050年には年間1千万人が耐性大腸菌が原因で死亡すると予測され,現在も耐性菌を原因とする死亡事例が国内外で相次いで報告されており喫緊な対応が必要である。本研究では,耐性大腸菌を対象に下水処理システムでの消長や耐性遺伝子の伝播メカニズム解明,更に処理水の消毒法を最適化することで,全世界に適用可能な耐性菌封じ込め・消毒技術を確立し,安全が担保された水循環社会システムを提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、培養に依存しない、自然環境中の薬剤耐性菌の網羅的解析方法として、蛍光in situハイブリダイゼーション法と蛍光細胞分取装置 (FACS)、次世代シークエンス解析を併用した環境中の薬剤耐性菌の網羅的検出技術の開発を行った。昨年度に確立した高感度検出試薬を使用したCARD-FISH法をベースに、さらにハイブリダイゼーション条件を最適化することで、安定して耐性菌を特異的に検出可能となった。また、環境サンプルとして活性汚泥に対して本手法を適用し、定量PCR法により標的遺伝子の定量を実施した結果、回収後のサンプルにおいて薬剤耐性遺伝子コピー数が最大で45倍まで増加したことから、本手法によって薬剤耐性菌の特異的な濃縮が可能であることが示された。 消毒技術の開発では、抗生物質耐性を複数有している多剤耐性大腸菌を指標微生物として、主波長の異なる深紫外LEDおよび比較対象として低圧紫外線ランプを用いた、不活化および光回復実験を実施し、消毒特性の評価を行った。薬剤耐性を獲得した事による消毒特性が、紫外線への波長毎で異なることが明らかとなった。また光回復においても紫外線の波長が異なるランプによる消毒後の光回復が大きく異なる結果が得られ、多剤耐性大腸菌に対する紫外線照射による消毒・光回復特性のモデル化を構築する事ができ、紫外線を用いた薬剤耐性菌に対する消毒バイアスを適切に評価する事が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル微生物である、大腸菌 Escherichia coli菌体 (クラスA-βラクタマーゼTEM-1遺伝子をプラスミドDNAに保有) を使用し、ハイブリダイゼーション条件の最適化を実施した。結果、本薬剤耐性遺伝子保有大腸菌を安定して検出可能な条件を見出すことに成功した。確立した手法を用いて、実環境サンプルである活性汚泥に対して実施した。回収サンプルと回収前のサンプルについて定量PCR法によるTEM-1遺伝子および全真正細菌の定量を行った。結果、全真正細菌に占めるTEM-1遺伝子の比率が回収後において最大45倍まで増加したことから、本手法によって環境中のTEM-1遺伝子の特異的な回収、濃縮ができたものと考えた。 消毒技術の開発では、現状、多剤耐性大腸菌の光回復特性を考慮した消毒特性を評価可能となったため、実現場での利用を考慮した消毒方法等について評価検討している。具体的には複数種の薬剤耐性菌が混合した状態を想定した際の紫外線照射による消毒特性を評価する手法の構築を目指している。また多剤耐性大腸菌は、耐性を有しない大腸菌に比較して紫外線の感受性が強い傾向があることから、他の消毒手法として塩素処理と紫外線照射を組合わせた消毒特性の評価手法の構築も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はTEM-1遺伝子を標的として実施をしているが、今後は環境中で優占していると考えられるセフォタキシム(CTX)系を標的とし、より実用面を重視した手法の確立を行っていくことを想定している。ひいては薬剤耐性遺伝子の伝播経路や伝播のメカニズムを明らかにするための有効な手法として利用できるようにしていきたい。 消毒技術の開発では、薬剤耐性菌大腸菌と併せてウイルス指標として広く用いられている大腸菌ファージも対象とした、紫外線+塩素処理の複合処理による相乗効果を評価する。塩素処理では、水質に依存して消毒特性が大きく変化することから、比較的安定しているクロラミン処理と紫外線を組合わせた消毒特性の検討を行い、評価結果を解析・検討し実現場へ導入可能な技術として提案することを試みる。
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Report
(4 results)
Research Products
(15 results)