High-precision measurement of the production yield of 211-astatine by high-temperature superconducting SQUID beam ammeter
Project/Area Number |
19H04403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邉 環 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 専任技師 (30342877)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥17,030,000 (Direct Cost: ¥13,100,000、Indirect Cost: ¥3,930,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
Fiscal Year 2019: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ビーム電流計 / 高温超伝導SQUID / ビスマス系高温超伝導体 / 高温超伝導 / SQUID / アスタチン211 / 電流計 / 加速器 / ビーム診断 / アスタチン |
Outline of Research at the Start |
最先端のがん治療薬として、α線を放射する短寿命放射性同位元素であるアスタチン211(211At)が、今注目を集めている。この製造量と質を正しく見積もるためには、加速されたビームの電流の高精度な測定は極めて重要である。申請者は世界に先駆けて高温超伝導SQUID(超伝導量子干渉素子)ビーム電流計の研究を続け、実用化と特許登録に至っている。211At生成収量は照射積算電流量に依存性を持つが、その測定結果は研究機関毎にばらつきがあるのが現状である。高温超伝導SQUIDビーム電流計により、生成収量の精度を大幅に向上し、211Atの製造法の最適化を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
最先端のがん治療薬として、注目を集めているアスタチン211(211At)の製造量を正しく見積もるためには、加速されたビーム電流の高精度な測定は極めて重要である。高温超伝導SQUIDビーム電流計により、211At生成収量を、非破壊・高精度で測定することが本研究の目的である。 SQUIDとは、脳磁や心磁の測定に利用されている超高感度磁気センサーである。本研究では、(1)ビームが通過する際、マイスナー効果によって誘起される遮蔽電流を、効率よくSQUID入力コイルに伝達する高温超伝導ピックアップループと、(2)超伝導体の完全反磁性を利用した超伝導磁気シールドの開発が重要となる。これらは、ビスマス系高温超伝導体(以下Bi2212と略)を銀基板上に溶融して製作する。液体窒素温度である77 K以上の臨界温度と十分な臨界電流を得るために、溶融過程に於ける最適化の研究を行った。溶融後の冷却プロセスでは、不活性ガスAr 雰囲気により酸素濃度を適切に保ち、不純物層の析出を防ぐ目的で、700 ℃から急冷する様々な方法を3 mm角の銀基盤サンプルを用いて実験を行った。その結果、自然冷却では、臨界温度と臨界電流の測定結果はそれぞれ82 K、45 A/cm^2であったが、水で急冷する方法により92K、304 A/cm^2と大きく性能が改善された。しかしながら、700 ℃からの急冷法は、実銀基盤で実施する場合、火災などの危険性が問題となった。そこで、溶融後にAr 雰囲気中でアニーリングする方法を考案し、アニーリング温度とその時間をパラメータとして、Bi2212の性能の最適化を行った。その結果、450度で12時間のアニーリングにより、臨界温度が94 K、臨界電流が422 A/cm^2と性能の改善に成功した。現在、実銀基盤にアニーリングを行うための大型耐熱石英ガラス容器の設計・製作を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、Bi2212を液体窒素温度で超伝導化し、また十分な磁気シールド能力を得るためには、臨界温度と臨界電流の測定が必要不可欠となる。これらの解析には磁気特性測定システムを用いているが、磁場を検出するSQUIDに不測の故障が生じたため、測定データによる解析が実施出来なくなった。磁気特性測定装置の修理を依頼したが、新型コロナウイルスの感染拡大による修理業者の作業停止状況が発生し、解析データの確認には大幅な遅延が生じた。しかしながら、修理完了後には、研究実績の概要に記した通り、磁気特性測定システムを用いた解析データを確認しながら、Bi2212を銀基盤上に溶融後にAr 雰囲気中でアニーリングする方法により、Bi2212の性能の最適化を行うことができた。この間に、高温超伝導ピックアップループと、超伝導磁気シールドの銀基盤の製作を完了した。これらの銀基盤と3 mm角の銀基盤サンプル上にBi2212を塗布溶融し、銀基盤サンプルにはAr雰囲気中でアニーリングを施し、(1)走査型電子顕微鏡による表面画像の観察、(2)X線解析法によるBi2212 の結晶構造の解析、(3)磁気特性測定装置を用いた測定臨界温度と臨界電流の測定、によって前回の実験結果が再現できることを確認した。現在、高温超伝導ピックアップループと、超伝導磁気シールドの銀基盤へAr雰囲気中でアニーリングを施すための耐熱大型石英ガラス容器の設計・製作を行っている。また、高温超伝導ピックアップループは、直径Φ166 mm、高さ33 mmの大きさであるため、電気炉内の温度分布を測定し、温度の均一性の確認を行った。5chの熱電対とデータロガーを用いて、電気炉内15点の温度分布を時系列で測定した。設定温度と測定された実温度の差を解析することにより、アニーリング時に補正すべき知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大型耐熱石英ガラス容器が完成次第、電気炉内へ設置し、熱電対とデータロガーによって炉内温度を監視しながら温度を徐々に上げ、目標温度450度で石英ガラスが軟化しないことを確認する。確認ができたら、Arガスをガラス容器内に流入し、炉内の温度変化を測定する。この試験によって問題が生じなければ、最終的にBi2212を溶融した高温超伝導ピックアップループ、超伝導磁気シールド、3 mm角のサンプルを石英ガラス容器内に設置して、Ar雰囲気中、450度で12時間のアニーリングを施す。アニーリング後は、高温超伝導特性の確認のため、磁気特性測定装置によりサンプルを用いて測定臨界温度と臨界電流の測定を行う。 高温超伝導体として銀基盤上にBi2212を溶融することを目指しているが、別の手法として、MgO基板上にBi2223を焼成する研究も並行して進めている。しかしながら、銀基板と違い、高純度のMgOは硬度が高く、高温超伝導ピックアップループ用として加工をする場合には、ダイヤモンドカッター等が必要であり難易度が高い。また、Bi2223は塗布焼結させて形成するため、焼成後に剥離し易い問題がある。このBi2223の剥離回避に向け、R(滑らかさ)の許容範囲と、サンドブラストによるMgO基板表面への粗度付加の調査を開始した。MgOのるつぼと平板を作成し、R加工と粗度負荷加工を施し、Bi2223の塗布焼成試験を行っている。3 mm角のテストピース上に塗布焼成したBi2223の超伝導特性は、臨界温度が105 Kで、臨界電流が1445 A/cm^2という良好な結果が得られた。 現在、高温超伝導の種類と基板の違いにより、(1) Ag基板上にBi2212相を塗布溶融、(2) MgO基板上にBi2223相を塗布焼成、の二通りで研究開発を進めている。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)