Project/Area Number |
19H05460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西原 寛 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 教授 (70156090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 園 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (40304745)
塚越 一仁 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, MANA主任研究者 (50322665)
坂牛 健 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, 主幹研究員 (50756484)
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Project Period (FY) |
2019-04-23 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥544,310,000 (Direct Cost: ¥418,700,000、Indirect Cost: ¥125,610,000)
Fiscal Year 2023: ¥99,710,000 (Direct Cost: ¥76,700,000、Indirect Cost: ¥23,010,000)
Fiscal Year 2022: ¥102,440,000 (Direct Cost: ¥78,800,000、Indirect Cost: ¥23,640,000)
Fiscal Year 2021: ¥117,260,000 (Direct Cost: ¥90,200,000、Indirect Cost: ¥27,060,000)
Fiscal Year 2020: ¥137,280,000 (Direct Cost: ¥105,600,000、Indirect Cost: ¥31,680,000)
Fiscal Year 2019: ¥87,620,000 (Direct Cost: ¥67,400,000、Indirect Cost: ¥20,220,000)
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Keywords | 二次元物質 / 金属錯体 / 結晶 / ヘテロ構造 / エネルギー貯蔵 / 導電性 / ヘテロ接合 / ダイオード / 太陽電池 / 光検出器 / 電池材料 |
Outline of Research at the Start |
配位ナノシートは、金属イオンと平面形の架橋有機π配位子との結合で構成される二次元共役ポリマーの極薄膜であり、温和な条件下で進行する金属イオンと有機分子のボトムアップ錯形成反応により合成でき、多彩な化学・幾何構造とそれに伴う多様な物性・化学的性質を創出できることから、その自然科学や産業への波及効果は計り知れない。本研究では、二相界面を反応場とする新規機能性配位ナノシートの高品質合成を確立し、本質的な物理・化学的特性を明らかにするとともに、ヘテロ接合体のような複合系を創製してそれらの特異な物理的、化学的機能を導き出し、電子・磁気・光デバイスやエネルギー変換・貯蔵デバイスなどへの応用を探求する。
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Outline of Annual Research Achievements |
金属イオンとヘキサアミノベンゼンからなるビス(ジイミノ)金属ナノシート(MHAB)は、電気伝導性や酸化還元特性を示し、ポーラスな化学構造を持つことから、電極材料や電極触媒として有用である。MHABは酸化的条件で化学的、電気化学的に合成される。電気化学的酸化では、電極上に MHAB を簡単かつ直接に形成できるが、比較的粗く、結晶性が低い。 そこで、印加電位、塩基の種類、塩基と構成要素の濃度が NiHAB ナノシートの合成と結晶性に及ぼす影響を調査した。その結果、酸化電位やアンモニア濃度を最適にすることにより、ナノメートルの厚さの NiHAB層を金電極上にフェースオン配向で形成することに成功した。さらに、CuHABの異方性電気化学合成を達成した。 CuHABの化学合成においては、酸化剤や塩基の種類や濃度の化学構造と結晶構造への効果を調べた。その結果、低塩基濃度で合成したナノシートは、アミノ基を有し、導電性の湿度応答性を示すこと、高塩基濃度で作製したナノシートは、異なる積層構造を有し、高い導電性を示すことを明らかにした。 新規配位ナノシートとしてビス (テルピリジン)ニッケルナノシートNiTPYを合成した。 無色のNiTPYは、色変化なしに、酸化還元活性を示し、透明エレクトロニクス材料としての有用性を示した。 配位ナノシートは多彩な物理・化学特性を持つ構造を設計できるが、これまでは異種材料を水平に接合する方法はなかった。Zn3BHT配位ナノシート(BHT: ベンゼンヘキサチオール)の一部をCu2+溶液やFe2+溶液に空間的に限定して浸漬することで、ダイオード様の整流作用を示す面内ヘテロ接合配位ナノシート(tmFe/tmCu)を、温和な条件で簡便に形成する方法を開発した。本研究をさらに発展させることで、超大規模集積回路の作製や新たな電子デバイス開発への貢献が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、2013年に始めた金属錯体から成る二次元物質である配位ナノシートに関して、これまで研究が進んでいなかった高結晶度化およびヘテロ構造化という基盤技術の確立と化学的・物理的な特性・機能の応用展開を目指している。本研究においては、それらの目標のいずれも、進捗することができた。まず、高結晶度化については、ビス(ジイミノ)金属ナノシートMHABにおいて、金属がニッケルと銅の場合について、反応条件を最適化することにより、電気化学合成、化学合成のいずれにおいても結晶化度を上げることに成功した。ヘテロ構造化については、初の面内ヘテロ接合の作製をビス(ジチオラト)亜鉛ナノシートZnBHTからの2段階トランスメタル化反応を用いることによって達成した。ZnBHTは絶縁体であるが、トランスメタル化により得られたtmFeおよびtmCuはいずれも 導電性を示すが、仕事関数が異なっている。このtmFeとtmCuの界面はp-p接合としてふるまい、ダイオード特性を示す。したがって超薄膜電子素子として機能する。これらの成果は、当初の研究計画が順調に進んでいることを示しており、(2)おおむね順調に進展しているを選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、配位ナノシートのヘテロ構造体として、ヘテロ金属、ヘテロ積層、面内ヘテロ接合を対象とし、いずれも成果を上げてきた。今後は、このヘテロ構造をより多くの組合せの金属に拡張し、構造と物性、機能の相関を明らかにする。 特にヘテロ金属配位ナノシートの合成に関しては、ポーラスなNi3BHT2が分散した溶液に他種金属イオンM2+(M = Cu, Znなど)を化学量論量加えることによって、NiM2BHTを合成する。新規ヘテロ金属配位ナノシートの合成とキャラクタリゼーションおよびそれらの電子物性、電気化学特性などの解析を行う。さらにこの方法をポーラスはPd3BHT2、Pt3BHT2にも適用し、Cu2+, Ag+, Au3+などを化学量論量加えることによって、PdM2BHT、PtM2BHTを合成する。 上記の方法では、パウダー状生成物が得られるが、フィルム状生成物を得る方法として、二相界面合成法で作製したフィルム状MBHTナノシートのトランスメタル化反応による金属交換を用いるヘテロ金属配位ナノシートの合成研究を行う。具体的には、Ni3BHTのCuによるトランスメタル化反応の条件を制御することによって、準安定状態としてのNiCu2BHTの生成を行い、その反応機構を解析する。さらにこの方法を用いて他の金属の組合せのヘテロ金属配位ナノシートの合成を行う。 ヘテロ金属配位ナノシートの電子構造に関して、バンド構造の理論計算と電子物性測定を合わせて、詳細な解析を行う。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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