Project/Area Number |
19H05467
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Research Category |
Grant-in-Aid for Specially Promoted Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 昌彦 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 研究員 (00236233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 太平 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (40586343)
橋本 亮太 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教授 (10370983)
松本 正幸 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50577864)
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Project Period (FY) |
2019-04-23 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥508,820,000 (Direct Cost: ¥391,400,000、Indirect Cost: ¥117,420,000)
Fiscal Year 2022: ¥91,000,000 (Direct Cost: ¥70,000,000、Indirect Cost: ¥21,000,000)
Fiscal Year 2021: ¥91,000,000 (Direct Cost: ¥70,000,000、Indirect Cost: ¥21,000,000)
Fiscal Year 2020: ¥123,500,000 (Direct Cost: ¥95,000,000、Indirect Cost: ¥28,500,000)
Fiscal Year 2019: ¥112,320,000 (Direct Cost: ¥86,400,000、Indirect Cost: ¥25,920,000)
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Keywords | 発達障害 / 社会的行動 / 神経ネットワーク / 認知ゲノム / 霊長類 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ヒトに近い霊長類動物を用いて、社会性およびその破綻としての発達障害に関わる神経生物学的機構の解明を目指す。具体的には、社会性の制御に関わる遺伝子と神経回路を同定し、それらの機能を明らかにするため、集団あるいは集団の中の個体による社会的行動、社会的行動を規定する神経ネットワーク活動、更に、神経ネットワーク活動を支配する認知ゲノム発現の生物学的トライアングル連関のメカニズムを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
<研究項目1>神経路選択的な光遺伝学的/化学遺伝学的活動操作を同時適用できる新規介入手法の開発:今後の波及的な研究発展を考慮し、ニューロン種特異的プロモータを搭載した新規ウイルスベクターの開発を進めており、霊長類脳においてドーパミン細胞、小脳プルキンエ細胞、パルブアルブミン細胞に選択的に遺伝子導入できるAAVベクターの作製に成功した。 <研究項目2>全脳的かつ全ニューロン的遺伝子導入技術の開発:モザイクAAVベクターの改良型をマーモセット新生児に全脳導入し、様々な脳部位において高い効率で遺伝子導入できることを確認した。また、幼弱期や成体期での全脳的遺伝子導入を実現するため、マイクロバブルと経頭蓋集束超音波照射を利用した血液脳関門の一過性開放技術による外来遺伝子導入システムの最適化を進めている。 <研究項目3>神経回路操作による発達障害霊長類モデルの作出と行動・神経活動解析:研究項目1で確立した手法により、社会性に関与する神経回路の活動を選択的に操作した発達障害モデルを作出する実験システムの構築が完了し、研究分担者の松本、二宮がそれぞれ共同注視に関わる行動課題、2個体テレワーク実験システムを用いて、作出したモデルの行動変容と神経活動変化を解析する準備を進めている。 <研究項目4>全脳的遺伝子操作による発達障害霊長類モデルの作出と行動・神経活動解析:研究項目2で確立した技術を用いて、発達障害に関わるリスク遺伝子POGZを標的とするshRNA配列を搭載したウイルスベクターの全脳導入をマーモセット新生児において実施し、現在、行動変容を期待しつつ経過観察を進めている。 <研究項目5>集団行動特性解析システムの構築:マカクザルおよびマーモセットにおいて集団ケージを利用した社会的行動特性解析システムの基盤的構築を完了し、現在、複数の野生型個体が居住する環境下で集団行動データを採取、解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目1および2については、いずれもその基盤となるキャプシド改変によるモザイクAAVベクターを用いた新規遺伝子導入システムの開発が完了し、確立した技術を利用して、研究項目3および4が着実に進展している。研究項目3については、社会性に関与する神経回路の活動を選択的に操作した発達障害モデルを作出する実験システムの構築が完了しており、研究分担者の松本、二宮により、作出したモデルの行動変容と神経活動変化を解析する準備が進められている。また、研究項目4については、発達障害に関わるリスク遺伝子POGZを標的とするshRNA配列を搭載したウイルスベクターの全脳導入により、発達障害モデルマーモセットの作出に成功しつつある。加えて、研究項目5についても、新型コロナウイルス感染拡大の影響により研究計画に少なからぬ遅延が生じたにもかかわらず、最終目標である研究項目6を円滑に実施できるだけの着実な進捗がみられた。マカクザルでは、教師データに基づいて画像からサルの運動を抽出できるAIを作成するとともに、このシステムを多点カメラによる撮影と組み合わせて3次元姿勢推定が可能になるアルゴリズムを構築した。更に、社会的行動解析に向けて複数個体の同時解析が可能になるような新たな機能を実装するとともに、集団ケージにおいて多点記録が可能なセットアップを完了した。また、マーモセットでは、集団行動を多角的に記録できる観察ケージおよび多点同期カメラシステムを構築するとともに、各個体の情動表出や個体間の同調行動が検出可能になる姿勢推定解析、共同注視などが検出可能になる視線方向解析、音声レパートリー解析など、多様な解析システムの構築を進めている。併せて、マカクザルおよびマーモセットを対象にして、AIで抽出したデータを特定の個体に紐づけるため、小型で長期にわたる連続記録が可能な個体装着型ロガーを日立製作所と共同で開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに一定の成果が得られている研究項目1および2については、新規ウイルスベクターを活用した基盤技術の更なる開発、確立を目指す。研究項目1では、霊長類脳においてニューロン種特異的プロモータを搭載した新規ウイルスベクターの更なる開発を推進し、ニューロン種選択的な遺伝子操作技術を確立する。研究項目2では、血液脳関門が閉鎖している幼弱期や成体期での全脳的遺伝子導入を実現するため、マイクロバブルと経頭蓋集束超音波照射を利用した外来遺伝子導入システムの最適化を完了する。また、現在取り組んでいる研究項目3~5については、次のように継続する。研究項目3では、社会性に関与する神経回路の活動を選択的に操作した発達障害モデルを作出し、研究分担者の松本、二宮がそれぞれ独自の実験系を用いて、作出したモデルの行動変容と神経活動変化を解析する。研究項目4では、発達障害に関わるリスク遺伝子POGZを標的とするshRNA配列を搭載したウイルスベクターの全脳導入をマーモセット新生児において実施し、現在、経過観察を進めている個体において何らかの行動変容が確認された段階で、当該発達障害モデルの詳細な行動学的解析をおこなうとともに、その再現性についても検討する。研究項目5では、集団行動特性解析システムおよび多個体行動同時トレースシステムを利用し、マカクザルやマーモセットの野生型個体が居住する環境下の集団ケージにおいて、個体を識別しつつ集団としての行動データを長期間、大容量かつ高精度で採取し、その特性を大規模データ解析により評価する。更に、研究項目6「発達障害霊長類モデルの集団行動特性解析」については、研究項目5で構築した解析システムを用いて、研究項目3あるいは4で作製したマカクザルやマーモセットの発達障害モデルを野生型個体と同居させた環境下で、モデル個体を含む各個体の行動パターンを分析し、その特異性を明らかにする。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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