Project/Area Number |
19H05593
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section A
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 一夫 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60174207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 健治 鳥取大学, 医学部, 助教 (10632937)
米元 史織 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (40757605)
小畑 弘己 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (80274679)
上條 信彦 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (90534040)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥91,910,000 (Direct Cost: ¥70,700,000、Indirect Cost: ¥21,210,000)
Fiscal Year 2023: ¥15,860,000 (Direct Cost: ¥12,200,000、Indirect Cost: ¥3,660,000)
Fiscal Year 2022: ¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥21,970,000 (Direct Cost: ¥16,900,000、Indirect Cost: ¥5,070,000)
Fiscal Year 2020: ¥20,670,000 (Direct Cost: ¥15,900,000、Indirect Cost: ¥4,770,000)
Fiscal Year 2019: ¥15,730,000 (Direct Cost: ¥12,100,000、Indirect Cost: ¥3,630,000)
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Keywords | 初期農耕 / 牧畜社会 / 青銅器時代墓葬 / 形質人類学 / 土器圧痕レプリカ分析 / アブダライ遺跡 / 原の辻遺跡 / 山の寺遺跡 / アファナシェヴォ文化 / ヘレクスール / ストロンチウム同位体比分析 / 炭化米 / 土器潜在圧痕分析 / モンゴル / 方形敷石墓 / 楊家圏遺跡 / 土器圧痕調査 / 古人骨の復顔研究 / 北方青銅器 / 土器圧痕分析 / 水田址 / 宇木汲田貝塚 / 弥生開始年代 / 弥生水稲農耕社会 / 東アジア青銅器文化 / 水田遺跡 / モンゴル青銅器時代 / 古人骨 / モンゴル新石器時代 / 山東半島 / 稲作農耕 / デンプン分析 / ストロンチウム分析 / 二次的農耕社会 / 環境変動 / 移住 / 言語拡散 |
Outline of Research at the Start |
東アジア先史時代は、農耕社会(中国大陸)、二次的農耕社会(東北アジア、西南中国部)、牧畜社会(北アジア)の4地域から成り立っている。この内、東北アジアの二次的農耕社会の文化拡散・変容と北アジアにおける牧畜社会の成立は、環境変動とりわけ乾燥冷涼化によって起こった可能性が高い。こうした過程を発掘調査など一般考古学的理論・方法のみならず植物考古学や炭化米計測・DNA分析、形質人類学やストロンチウム同位体比分析・筋付着部発達度分析などから実証的かつ総合的に明らかにしていく。そして、東アジアの農耕の拡散や牧畜社会の成立が、ユーラシア東部における人の移動や言語集団の拡散を示していることを明らかにしていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
7月~8月にモンゴル国ザブハン県アブダライ遺跡の発掘調査ならびに古人骨の形質人類学的調査を行った。紀元前28~前18世紀のアファナシェヴォ文化タイプの16号墓を発掘した。16号墓は紀元前15~前13世紀にシカとヒツジ・ヤギによる犠牲行為が行われており、この時期から牧畜社会が始まることが明らかとなった。さらに円形ヘレクスール1基、2基の円形墓、1基の方形墓を発掘し、古人骨の炭素年代から紀元前13~前9世紀であることが明らかとなった。また、馬の祭祀抗2基を発掘し、馬の炭素年代から、ヘレクスール2基の年代も紀元前13~前9世紀であることが明らかとなった。岡崎・米元は、8月に本調査で発掘された古人骨3体をモンゴル考古学研究所で調査し、形質人類学的研究とともに、ストロンチウム同位体分析試料を採取した。 7月に、SEAA(東アジア考古学会)で、本メンバー全員が研究成果を英語で発表した。 10月~11月に予定していた中国山東省楊家圏遺跡の水田遺跡調査は、新型コロナ感染症拡大のため延期とした。中国・韓国での初期農耕伝播過程の現地調査が難しいところから、北部九州へ初期農耕が伝播し受容する過程を明らかにするため、1951~1961年にかけて東亞考古学会が発掘調査した壱岐原の辻遺跡の再整理調査を行った。東亜考古学会の発掘調査では炭化米などの農耕関係資料が採集されており、これらの年代測定や上條が炭化米の計測調査を継続した。また、遼東半島の将軍山積石塚の戦前の発掘資料が京都大学で保管されていたが、楊家圏遺跡調査の代替研究として、これら未整理資料の再整理を行った。これにより、山東から遼東地域における新石器時代末期から青銅器時代の移行期の様相を把握することができた。 一方、小畑は、九州大学考古学研究室が所蔵する弥生早期の山の寺遺跡の土器圧痕調査を進めた。また、それら土器の潜在圧痕分析も試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンゴル高原の青銅器時代初期のアファナシェヴォ文化の墓葬を初めて調査することができた。また、このような青銅器時代初期の墓制が、アルタイ地域からまずモンゴル西北部に広がっていくことが確かめられた。さらに、15~13世紀のヘレクスール墓制の初期の祭祀坑出土の動物遺存体から、この時期まで狩猟採集社会であったものから、ヒツジ・ヤギなどの家畜動物がアルタイ地域からモンゴル高原へ広がっていくことが確かめられた。また、この時期がカラスク青銅器文化時期に相当することが明らかとなった。さらに、出土した古人骨の形質人類学的分析やストロンチウム同位対比分析により、人の移動の基礎資料を加えることができた。 コロナ感染症拡大のため、当初予定していた中国山東省楊家圏遺跡での水田遺構の発掘調査が引き続き延期になったことは、研究計画上大きな支障となっている。その代替手段として、原の辻遺跡と将軍山積石塚の未整理資料を再整理し、それぞれ着実な研究成果を挙げることができた。 また、原の辻遺跡や山の寺遺跡の炭化米や土器圧痕分析を行うことにより、弥生文化期における穀物農耕の実態を解明する基礎資料を増やした。
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Strategy for Future Research Activity |
アブダライ・ヒャーサー遺跡の発掘調査では、モンゴル高原への青銅器墓制の導入過程とともに、狩猟採集社会から牧畜社会への移行時期やその移行過程を明らかにすることができた。そのような発掘調査成果とともに、古人骨や動物遺存体の分析結果を含めた調査報告書を刊行する。また、モンゴル高原の青銅器時代末期のチャンドマニ墓制の踏査を行い、墓制から匈奴遊牧国家の成立過程の解明を試みる。さらに、原の辻遺跡の整理調査報告書を刊行する。また、楊家圏遺跡の発掘実施のための交渉を継続するが、その可否によって、代替研究である将軍山積石塚の整理調査を進めるかどうかを決めて行く。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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