Project/Area Number |
19H05608
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section B
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鳥居 祥二 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (90167536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 正樹 立命館大学, 理工学部, 教授 (80210136)
田村 忠久 神奈川大学, 工学部, 教授 (90271361)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥201,240,000 (Direct Cost: ¥154,800,000、Indirect Cost: ¥46,440,000)
Fiscal Year 2023: ¥36,010,000 (Direct Cost: ¥27,700,000、Indirect Cost: ¥8,310,000)
Fiscal Year 2022: ¥35,750,000 (Direct Cost: ¥27,500,000、Indirect Cost: ¥8,250,000)
Fiscal Year 2021: ¥36,010,000 (Direct Cost: ¥27,700,000、Indirect Cost: ¥8,310,000)
Fiscal Year 2020: ¥36,010,000 (Direct Cost: ¥27,700,000、Indirect Cost: ¥8,310,000)
Fiscal Year 2019: ¥57,460,000 (Direct Cost: ¥44,200,000、Indirect Cost: ¥13,260,000)
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Keywords | 高エネルギー宇宙線 / 宇宙線加速源 / 宇宙線銀河内伝播 / 暗黒物質 / 国際宇宙ステーション / 宇宙線加速 / 近傍加速源 / 多波長天文学 / カロリメータ / 銀河宇宙線 / 宇宙ステーション / 宇宙線電子成分 |
Outline of Research at the Start |
高エネルギー宇宙線電子望遠鏡(CALET) は、2015 年10 月より国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」において高エネルギー宇宙線の直接観測を継続し、重要な観測成果の発表を開始している。本研究では、CALET 長期観測により、原子核成分(ハドロン) と電子成分(レプトン) の双方で"標準モデル" の中心的仮説である、超新星残骸における衝撃波加速と銀河内伝播過程を直接的に検証する。原子核成分では100 TeV 領域における加速限界の検出、電子成分ではTeV 領域での近傍加速源の初同定を目指す。さらに、全電子スペクトルの特徴的な構造に着目して、TeV 領域での暗黒物質の検出に挑戦する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究で実施しているISS日本実験棟・「きぼう」に搭載したCALorimetric Electron Telescope(CALET)による高エネルギー宇宙線の観測は、2015年10月から約7.5年に亘って極めて順調に実施されている。JAXAと連携した軌道上観測の常時モニタリングを行って観測運用の最適化を図ることにより、効率的かつ安定的な観測が実現されている。その結果、主要な観測モードである高エネルギートリガーによる観測イベント数はすでに約18億に達しており、所期の目的である、(1) 1 GeV-10 TeV領域の電子、(2) 10 GeV-数100 TeV領域の陽子・原子核、(3)1GeV-1 TeV領域のガンマ線、の観測を継続的に実施している。 これまでの観測結果のデータ解析により、本年度は以下の3件の論文をPRL誌において発表している。1)核子当たり8.8 GeV-240 GeV領域でのニッケルのエネルギースペクトルの観測結果、及び鉄のエネルギースペクトルの比較、2)50 GeV-60 TeV領域での陽子のエネルギースペクトルとその解釈、3)核子当たり8.4 GeV-3.8 TeV領域でのホウ素のエネルギースペクトルとホウ素/炭素比のエネルギー依存性、及びそのLeaky Box Modelによる検証。これらはいずれもこれまでの観測では確実には達成されなかった、高エネルギー領域における高精度な観測結果であり、宇宙線の起源と伝播について重要な知見をもたらすものである。さらに、LIGO-VirgoのO3 ランで観測された重力波発生天体からの7 keV-TeV領域の電磁成分の観測結果(上限値)をApJ誌において発表している。 なお、この期間の最新の研究成果は、COSPAR等の国際会議(8件、内3件は招待講演)や日本物理学会(15件)等の国内会議において適宜発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CALETは2015年8月の打ち上げ後、当初予定の5年間の観測期間を過ぎて、これまで7年以上の期間にわたって期待通りの観測性能を発揮して、観測が順調に実施されている。そして、本研究計画を開始した2019年4月からすでに観測量は2倍以上に増大している。その結果、研究期間内に本研究目的を達成するために必要な観測データの取得を予定通りに達成している。同時に、軌道上データ較正及びデータ処理手法改良の継続的な実施により、電荷識別やエネルギー測定などの重要な観測性能がより高精度に達成されている。この期間の観測運用の進行状況をチェックするため、2023年3 月に行われた2022年度のJAXA「中間確認会」において、今後の軌道上の運用継続において問題がないことが確認されている。 高エネルギー電子の観測においては、これまでの観測データの集積により本研究の中心的課題である近傍加速源と暗黒物質探査に関するデータ解析が進展しており、予定通り論文作成に必要なTeV領域の予備的なエネルギースペクトル等の結果が得られている。陽子・原子核の観測では、ニッケル(+ニッケル/ 鉄比)、ホウ素(+ホウ素/炭素比)、陽子の観測結果をPRL誌で発表している。これらはいずれもこれまで観測結果の少ない高エネルギー領域での高精度測定であり、「研究実績の概要」で述べたように宇宙線研究において新た知見を与える結果である。その他、ガンマ線バーストを含む電磁波観測を継続的に実施して、重力波発生天体のフォローアップ観測の結果をApJ誌で発表するなど、他波長天文学の分野においても成果が挙がっている。以上のように、本研究計画は、順調な観測の継続により本来の宇宙線観測における所期の成果を挙げるだけでなく、当初目的にはなかった突発的天体等の観測に関する成果も挙がっており、「おおむね順調に進展している」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度から開始した本研究計画では、CALETの観測開始からすでに約7.5 年間の観測データを取得して、現時点における所期の観測目的を達成している。今後のCALETの観測は、JAXAによる科学的成果および観測装置の運用状況の審査の結果、1年毎の中間報告を踏まえて2024年12月まで観測継続が承認されている。このため、本研究計画が終了する2023年度までの観測は問題なく実施することができる。これまでの観測運用は極めて順調に実施されており、観測性能に影響を与えるような装置の不具合は発生していない。そして、主要な研究目的である宇宙線(電子、陽子・原子核)の高精度直接観測が期待通りに現時点まで実現できており、米伊との国際共同研究による重層的なデータ解析が効率的に達成されている。このため、現状の観測条件を維持して継続的にデータ取得を達成することにより、高エネルギー領域における宇宙線の高精度観測を予定通りに完遂し、研究期間内に所期の研究目的を達成することを目指す。さらに、長期に亘る安定した軌道上運用の結果、当初目的にはなかった太陽フレアや重力波源などの突発現象に関する他観測との研究が、共同観測等により多岐にわたって実現しており、当該分野との緊密な研究連携を行なっていく予定である。とりわけ重力波観測との連携では、LIGO/VirgoにKAGRAが加わり、格段に感度や位置決定精度が向上するO4ラン(2023年5月開始予定)の期間にフォローアップ観測を実施し、重力波発生機構における電磁波成分の存在または上限値を明らかにすることを目指す。 以上の科学成果発信のため、研究成果の発表を国内外の会議等で積極的に行うとともに、本研究計画の最終年度になる2023年度に所期の最終的な科学観測目的を全て達成することを期する。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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