Project/Area Number |
19H05615
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section C
|
Research Institution | Tohoku University (2022-2023) Nagoya University (2019-2021) |
Principal Investigator |
山下 太郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (60567254)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 尚輝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (00746472)
田中 雅光 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10377864)
猪股 邦宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50525772)
宮嶋 茂之 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 主任研究員 (50708055)
|
Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥203,580,000 (Direct Cost: ¥156,600,000、Indirect Cost: ¥46,980,000)
Fiscal Year 2023: ¥23,920,000 (Direct Cost: ¥18,400,000、Indirect Cost: ¥5,520,000)
Fiscal Year 2022: ¥24,050,000 (Direct Cost: ¥18,500,000、Indirect Cost: ¥5,550,000)
Fiscal Year 2021: ¥31,850,000 (Direct Cost: ¥24,500,000、Indirect Cost: ¥7,350,000)
Fiscal Year 2020: ¥39,390,000 (Direct Cost: ¥30,300,000、Indirect Cost: ¥9,090,000)
Fiscal Year 2019: ¥84,370,000 (Direct Cost: ¥64,900,000、Indirect Cost: ¥19,470,000)
|
Keywords | 超伝導 / 量子回路 / ジョセフソン接合 / スピントロニクス / モノリシック |
Outline of Research at the Start |
量子計算分野において、古典計算機を凌駕する計算能力を表す「量子超越性」の実験的実証は、全世界的に喫緊の研究課題として注目されている。その実証には、量子回路の大規模化(量子ビット数の増加)を、コヒーレンス時間(量子状態を保持可能な時間)等の性能劣化なく達成することが必要不可欠である。本研究では、本研究チームが誇る大規模化可能なπ接合量子回路と超低消費電力性を有する半磁束量子回路という世界最高峰のコア技術を融合することで量子超越性の実証を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、π接合量子回路及びモノリシック回路、低消費電力な制御回路の全ての研究項目について、数々の重要な進展が得られた。まずπ接合量子ビット・量子回路について、材料・プロセス面からの検討を進めていたが、従来よりも素子作製マージンや均一性の観点から優れたNbN/PdNi/NbN接合(本年度論文発表)をπ量子ビットに導入し、昨年度判明したCuNi接合のプロセス困難性を克服した結果、世界で初めて全窒化物型のπ量子ビットの動作実証に成功し、これまで報告されていたNb系π量子ビットに対し、250倍の改善となる約1マイクロ秒の量子寿命を達成した。素子作製のやや遅延のため、年度当初の目標だった2量子ビットゲート実証には至っていないものの、既にビット間結合を備え、量子アルゴリズムSimultaneous Quantum Messages Protocolsを実装した多量子ビット(4-20量子ビット)量子回路の作製が完了しており評価を進めている。また、制御回路用グラウンドプレーン層を有するモノリシックプロセスの構築を完了し、π量子ビットと制御回路をオンチップ実装したモノリシックチップを作製しπシフト動作実証まで成功した。構築したプロセスを用い、低消費電力な制御回路として、低臨界電流密度を有する量子ビット制御回路を開発し、希釈冷凍機内でのミリケルビン温度下での正常動作に成功、安定した信号出力を確認した。さらに、究極的な低消費電力性を示す半磁束量子(HFQ)回路についても、窒化物ベースHFQ回路において世界に先駆けて明瞭な半磁束量子動作を実証した他、NbN/AlN/PdNi/NbN構造π接合によるトグルフリップフロップ回路の作製も行い、正常な分周動作実証にも成功した。以上のように、最終年度における目的達成に向け重要となる各基盤技術について多数の研究成果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究の主たる目的であるモノリシック量子回路の実現に向け必要不可欠な成果となる、全窒化物型π量子ビットの動作実証と従来報告比250倍の性能向上、超低消費電力な制御回路の希釈冷凍機での安定動作実証、半磁束量子動作及び分周動作実証、そして全窒化物モノリシック量子回路のプロセス構築及びモノリシックチップ作製に成功し、数々の極めて重要な進捗を得た。これらは、研究開始当初より積み上げてきた、デバイス材料及びプロセス検証や、希釈冷凍機システムにおける徹底的な低雑音化の取り組み等が結実した成果であり大きな進展である。一方で、量子回路大規模化の観点からは、昨年度に設計完了していた多量子ビットの作製に関し、試作を担当する情報通信研究機構のクリーンルームにおける大規模な装置入れ替え作業が発生した事情により、複数回の試作失敗が続いたことで試作の遅延が発生し、多量子ビット回路の評価がやや遅れている。現在では原因がほぼ特定・解決しており試作にも成功していることから、最終年度に向け問題は解消したと考えている。以上により、本研究は概ね順調に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は最終年度における研究目的の達成に向け、1) 全窒化物型大規模π量子回路の開発、2) 半磁束量子回路を含む低消費電力な制御回路の高度化とその拡張性検証、3) 量子ビットと制御回路をモノリシック化した回路の動作実証、4) 多量子ビット回路における量子超越性の検証、の研究項目に取り組む。山下は、各分担者と協力し100量子ビット級大規模π量子回路の設計・開発と、低消費電力制御回路とπ量子ビットが一体となったモノリシック回路における量子ビット制御実証、量子アルゴリズム実装した量子回路における量子超越性実証を目指す。田中は、情報通信研究機構とも連携し、複数の量子ビットを対象とする低消費電力制御回路の実証に取り組み、大規模量子回路制御に向けた多量子ビット化への拡張性を評価する。また、磁性π接合を導入した低電力動作が可能な新規回路について実験的評価を実施する。猪股は、結合に特化した構造を持つ容量シャント型π接合磁束量子ビットの極低温評価を行う。100量子ビット級の量子コンピュータ実現に向け、基本ゲートとなる2量子ビットゲートを交差共鳴の手法を用いて実証する。また山下と協力し、量子アルゴリズムを実装した4ビット結合量子回路における量子超越性の評価を行う。竹内は、半磁束量子(HFQ)動作実証に成功したHFQ-SQUIDについて、数値計算によりさらに詳細に挙動を解析しこれまでに得られた実験結果の妥当性や低消費電力性を検証することで、NbNベースのHFQ回路技術を確立する。宮嶋は、これまでに実証・確立してきたNbNベースのジョセフソン接合及び磁性π接合、それらのハイブリッド構造に基づく量子ビットおよび超伝導信号処理回路のモノリシック集積回路作製プロセスを用いて、100量子ビット級大規模π量子回路と低消費電力な超伝導集積回路の作製を行い、動作実証を目指す。
|
Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
|