Project/Area Number |
19H05650
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section H
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 俊憲 千葉大学, その他部局等, 学長 (50237468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池原 譲 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10311440)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥202,020,000 (Direct Cost: ¥155,400,000、Indirect Cost: ¥46,620,000)
Fiscal Year 2023: ¥29,510,000 (Direct Cost: ¥22,700,000、Indirect Cost: ¥6,810,000)
Fiscal Year 2022: ¥29,510,000 (Direct Cost: ¥22,700,000、Indirect Cost: ¥6,810,000)
Fiscal Year 2021: ¥29,510,000 (Direct Cost: ¥22,700,000、Indirect Cost: ¥6,810,000)
Fiscal Year 2020: ¥49,140,000 (Direct Cost: ¥37,800,000、Indirect Cost: ¥11,340,000)
Fiscal Year 2019: ¥64,350,000 (Direct Cost: ¥49,500,000、Indirect Cost: ¥14,850,000)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 病原性免疫記憶 / 組織常在性記憶CD4T細胞 / iBALT / 組織常在性T細胞 / Amphiregulin |
Outline of Research at the Start |
免疫が関与する難治性疾患である成人喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、がんなどの病態形成には免疫記憶ヘルパー細胞の関与が報告されており、治療法の開発には免疫記憶細胞の分化・維持・多様な機能獲得の分子機構の理解が必須であるが、現在のところ分子機構についてはほとんど不明のままである。 本申請研究では、免疫学領域で残されている一大テーマである免疫記憶成立における細胞や分子機構に関するプリンシプルを明らかにしたい。特に「我々が発見した生体にとって有害な病原性免疫記憶T細胞が分化し生体内で長期間維持される分子機構、すなわち病原性免疫記憶成立の分子機構」をクロマチンレベルおよび生体レベルで解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
1) アレルギー性結膜炎における痒みとPathogenic記憶Th2細胞の関与を明らかにする目的で、アレルギー性結膜炎モデルマウスとアレルギー性結膜炎患者の結膜の解析を行なった(Okano M., Immunity, 2022)。上皮から産生されたIL-33は結膜内のPathogenic記憶Th2細胞を刺激し、痒み誘導物質であるCGRPを産生させることで痒みを誘発することを明らかにした。またIL-33によりCGRP受容体を発現する感覚神経の伸長も認められた。マウスモデルにおいてIL-33またはCGRP欠損は痒みを低下させたことから、これらの分子が難治性の痒みの治療薬として応用される可能性が示唆された。 (2) 記憶Th2細胞の形成機構を明らかにする過程で、酸化ストレス除去機構の制御因子であるTxnipが重要な役割を担っていることを明らかにした(Kokubo K., PNAS, 2022)。本研究ではTxnipが酸化ストレスを除去することでアポトーシスを誘導し、記憶Th2細胞の形成を促進することがわかった。 (3) 病理組織標本にオスミウムコーティングすることで、走査電子顕微鏡による観察を可能とした(Wakai K., Sci Rep., 2022)。これによりマウス気管支組織の超微細構造形態を観察し、アレルギー性気道炎症反応におけるアンフィレグリンの病理学的作用を明らかにした。 (4) 舌下免疫療法の治療効果が高かった患者ではPathogenic 記憶Th2細胞の数が減少しており、これは舌下免疫療法によりPathogenic記憶Th2細胞が制御性T細胞に分化するためであることがわかった (Iinuma T, J Allergy Clin Immunol., 2022)。さらにTh2細胞の機能を抑制するマスキュリンの発現上昇が認められており、これが舌下免疫療法の有効性を確かめるバイオマーカーとなりうることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(1) これまで明らかにしてきたPathogenic記憶Th2細胞による好酸球性炎症誘導(Endo Y., Immunity, 2015)、並びに組織線維化誘導 (Morimoto Y., Immunity, 2018)に加え、本研究ではPathogenic記憶Th2細胞による痒みの誘発という新たな機能を同定することができた(Okano M., Immunity, 2022)。同等の知見がこれまでに報告されたことはなく、当初の計画にはない想定を超える進展であり、期待以上の研究成果であった。また酸化ストレス制御による記憶Th2細胞形成機構の解明は、TxnipによるPathogenic記憶Th2細胞を制御できる可能性を示唆しており、その学術的価値は高い(Kokubo K., PNAS, 2022)。 (2) 本研究により確立された新たな病理学的手法により、疾患に伴う細胞や間質の超微細構造変化を捉え、病的な組織の空間情報を理解することが可能となった(Wakai K., Sci Rep., 2022)。すなわち、通常の光学顕微鏡では観察することができない超微細な構造を走査電子顕微鏡により可視化することで、様々な疾患においてこれまで見過ごされてきた病的な構造変化を明らかにする可能性が考えられる。 (3) アレルギー性鼻炎の治療法の1つである舌下免疫療法は高い治療効果を持つが、その作用メカニズムは不明であった。本研究により、アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法において病原性記憶Th2細胞の機能的な変化が、その治療効果となることを明らかにした(Iinuma T, J Allergy Clin Immunol., 2022)。また舌下免疫療法によるマスキュリンの増加は、舌下免疫療法の有効性を示すマーカーとなりうることから、本研究成果の臨床的意義は高い。 以上、着実な研究進展が認められており、当初の計画以上の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.“Pathogenic記憶Th2細胞”の分化・多様な機能の獲得・機能維持の分子機構の解明:(1-1) Pathogenic記憶Th2細胞は組織常在性の特徴を持つことが明らかになったことから、引き続きSingle cell RNA-seqやエピゲノム・トランスクリプトームといった網羅的解析を駆使することで組織常在性記憶CD4T細胞の新規誘導機能分子の同定を目指す。候補遺伝子が得られた際にはその遺伝子改変マウスを作成し、組織常在性記憶CD4T細胞の維持や機能発現にどのような影響を与えるのか検討を行う。(1-2) Pathogenic記憶Th2細胞の機能維持機構をクロマチンレベルで解析する。
2. “Pathogenic記憶Th2細胞” の分化と維持を担う微小環境の時空間的な解析: (2-1)引き続きmCherry-niche labelingによるiBALT形成過程における重要な構成細胞の同定とダイナミクスを解明する。この解析から、iBALT形成プロセスやPathogenic記憶Th2細胞の分化・機能発現などにおいて鍵となる微小環境の細胞や分子を同定する。同定された微小環境の細胞について、エピジェネティックな解析を行う。 (2-2)走査電子顕微鏡を用いて肺組織線維化における超微細構造の変化を検証する。そして免疫組織学解析と平行する形で、細胞外基質のダイナミクスを検証し、iBALT形成過程における重要な機能分子の同定を目指す。
3.ヒト患者の検体(好酸球性食道炎、慢性好酸球性副鼻腔炎、慢性過敏性肺臓炎など)を用いた検証(POC):好酸球性食道炎の食道粘膜生検検体に含まれる記憶CD4T細胞についてin silicoにおける解析を行う。これまで同定された好酸球性炎症誘導、線維化誘導または痒み誘導Pathogenic記憶Th2細胞の特徴と比較し、その分化経路についての解析を行う。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A+: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, more progress has been made in research than expected.
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