Project/Area Number |
19H05651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (S)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Broad Section H
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北川 大樹 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (80605725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
知念 拓実 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (40775607)
高尾 大輔 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (10548811)
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Project Period (FY) |
2019-06-26 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥199,940,000 (Direct Cost: ¥153,800,000、Indirect Cost: ¥46,140,000)
Fiscal Year 2023: ¥39,260,000 (Direct Cost: ¥30,200,000、Indirect Cost: ¥9,060,000)
Fiscal Year 2022: ¥39,260,000 (Direct Cost: ¥30,200,000、Indirect Cost: ¥9,060,000)
Fiscal Year 2021: ¥39,260,000 (Direct Cost: ¥30,200,000、Indirect Cost: ¥9,060,000)
Fiscal Year 2020: ¥39,260,000 (Direct Cost: ¥30,200,000、Indirect Cost: ¥9,060,000)
Fiscal Year 2019: ¥42,900,000 (Direct Cost: ¥33,000,000、Indirect Cost: ¥9,900,000)
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Keywords | 細胞分裂 / 中心体 / 分裂期紡錘体 / 染色体分配 / 抗がん剤開発 / 抗がん薬開発 / 紡錘体 / 中心小体 / 抗ガン剤開発 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、多様なヒトがん培養細胞を用いて、中心体依存的・非依存的な分裂期紡錘体の形成機構を統合的に解明する。特に、中心小体複製の進化的保存性、高度な再現性を保障する基本原理の解明に正面から取り組み、新しいコンセプトの創出を目指す。また、様々な組織由来のヒトがん細胞をモデル系とし、中心体除去時に駆動する紡錘体形成バックアップシステムに関与する因子群をCRISPR-Cas9 sgRNAライブラリーを用いた細胞遺伝学スクリーニングにより網羅的に同定する。さらに、介在する複合体形成や、紡錘体極を形成する構造体の機能解析を行い、その分子基盤を包括的に理解する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、中心体が存在しないヒトがん細胞において、紡錘体極形成因子であるNuMAが相分離を介して、凝集体を形成し、分裂期紡錘体の形成を促進していることを明らかにしてきた(EMBO(2020), JCB(2021))。今年度は、中心体が存在するヒトがん細胞においても、分裂期を標的とする抗がん薬であるタキソールを処理することで、NuMAに依存して異所的な紡錘体極形成が誘起され、多極紡錘体が形成されることを発見した。これまでに、タキソールが示す抗がん活性として、多極紡錘体形成から生じる細胞死が有効な作用点であることが示されていたが、その分子機構は明らかにされていなかった。タキソールを処理した際に生じる極構造の形成プロセスを解析したところ、NuMAが天然変性領域を介して相分離し、凝集することで紡錘体極として働くことが示された。高解像度の顕微鏡観察、ライブイメージングの結果から、核膜崩壊による環境変化、タキソールによる微小管ダイナミクスの低下が、NuMAの凝集特性の制御に関与していることが示唆された。以上により、タキソールはNuMAの相分離様凝集を介して、紡錘体極を形成させ、多極紡錘体形成を誘導することを見出した。本研究成果は、ヒトがん細胞の分裂阻害の全く新しいストラテジーを提示するものであり、今後の分裂期作用薬の開発に有用な知見を提供し得る。さらに、今年度は、CRISPR-Cas9を用いた新しいヒト培養細胞のゲノム編集技術を開発した(JCS (2023))。この技術を駆使して内在性の遺伝子を改変することで、中心体や分裂期紡錘体における分子機能解析をより厳密に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主眼の一つである新しい抗がんストラテジーの開発に向けて、タキソールの作用機序の解析を細胞生物学的に行い、新しい作用点の導出に至った。この研究成果は、中心体と協調的に作動する紡錘体形成マシナリーの解析を発端としており、独自性がある。また、デュアルキナーゼ阻害による抗がんストラテジーの開発や、中心体複製や形成に関する研究も同時に展開しており、研究計画全体として順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、国際的にもリードしている中心体関連研究に加えて、以下の項目により力点をおいて研究を推進する。
中心体非依存的な紡錘体形成に寄与するキナーゼを同定し、このキナーゼに対する特異的阻害薬とPlk4阻害薬の併用が、がん細胞の増殖や分裂期紡錘体形成を抑制するか検討を行い、分裂期紡錘体を完全に抑制するストラテジーを創出する。血液がん細胞を含む複数のがん細胞株でその検討を行う。
ヒト慢性骨髄性白血病(K562細胞)やリンパ腫(RAJI細胞)を含む血液がん細胞では、中心体除去により紡錘体形成と細胞分裂が著しく抑制されることを発見している。細胞生物学的解析と細胞遺伝学スクリーニングを組み合わせることで、血液がん細胞が特異的に有する中心体依存性の高い紡錘体形成機構と、それを効果的に阻害する抗がんストラテジーの開発を行う。
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Assessment Rating |
Interim Assessment Comments (Rating)
A: In light of the aim of introducing the research area into the research categories, the expected progress has been made in research.
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