共鳴回折法による時間・空間反転を破る磁気多極子秩序に関する研究
Project/Area Number |
19J00467
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上田 大貴 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2020-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 共鳴回折 / 奇パリティ / 磁気多極子 / 磁気ドメイン / 電気磁気効果 / 超伝導 |
Outline of Research at the Start |
磁荷分布の異方性が形成する磁気多極子、特に空間反転対称性と時間反転対称性をともに破る磁気多極子は、電気磁気効果と呼ばれる磁性と誘電性の非自明な結合現象を生み出すのみならず、長年未解決であった銅酸化物超伝導体における擬ギャップ相の秩序変数であることが理論的に提案されているなど、現在の物性物理学の主要研究対象となっている。しかし実験的には秩序の実現、という根本的な部分ですら十分なコンセンサスを得られていない。本研究では共鳴X線回折法により磁気多極子秩序の実現を実証する。ドメインという微視的なスケールでの同秩序の外場応答から、同秩序の物理的な性質を実験的に解明し、基礎学理の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、時間反転対称性と空間反転対称性をともに破ることから様々な物性発現の伴を握る、トロイダルモーメント、磁気四極子、アナポールといった磁気多極子秩序の物理的性質を実験的に解明することである。これらの秩序が物質中で形成する「磁気ドメイン」を共鳴X線回折法によって可視化することが原理的に可能であることに着目した。 本年度はまずトロイダルモーメントを内包するLiFeSi2O6、磁気四極子を内包するPb(TiO)Cu4(PO4)4、アナポール秩序を有することが提案されているCuOに着目し、共鳴回折実験をSPring-8 BL17SUにて行った。LiFeSi2O6とPb(TiO)Cu4(PO4)4については、磁気転移温度以下で現れる磁気反射がBragg反射もしくはATS散乱に起因した禁制反射に重畳することで磁気散乱と電荷散乱の干渉が生じ、これを利用することで磁気散乱の位相、すなわちトロイダルモーメントや磁気四極子といった秩序変数の符号を識別することができる。本年度の実験では、着目した逆格子点において磁気散乱と干渉する電荷散乱がたしかに存在すること、電荷散乱強度が結晶全体で一様であることを共鳴回折実験により確認した。これにより試料を冷却、磁気反射が重畳することで磁気的な秩序変数の符号をドメインという形で直接観測することができる。CuOについては、共線的な反強磁性秩序に起因するとされる1/2 0 -1/2磁気反射強度に円偏光依存性が存在し、なおかつこの円偏光依存性が試料の位置に依存する、つまりドメインが形成されていることを実験的に観測した。この円偏光依存性は共線的な反強磁性秩序のみでは説明できず、アナポール等何らかの秩序が形成されていることが示唆される。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)