南極アイスコア中の硫酸の酸素同位体異常に基づく過去の大気酸化力の復元
Project/Area Number |
19J00682
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | Kanazawa University (2021) National Institute of Polar Research (2019-2020) |
Principal Investigator |
石野 咲子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 酸素同位体異常 / 南極 / 硫酸エアロゾル / アイスコア / 大気酸化過程 |
Outline of Research at the Start |
大気酸化力(=大気酸化剤の存在量)は、あらゆる大気微量成分の寿命制御要因の一つであるため、大気環境変動を解明する上で重要な情報である。しかし、大気酸化剤はアイスコアに直接保存されないため、過去の大気酸化力の復元は困難となっている。これに対し、南極アイスコア中の硫酸の酸素同位体異常(Δ17O値)は、過去の大気酸化反応過程の間接指標として提案されている。 本研究では、南極ドームふじのアイスコア試料を用いて高時間解像度でのΔ17O値分析を行い、全球大気化学-輸送モデルと組み合わせた解析により、最終氷期から現在にかけての大気酸化過程の変遷復元を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は南極アイスコア中のΔ17O(SO4)値の分析に注力した。南極ドームふじ近傍で掘削された浅層アイスコア試料(過去約2000年分)の提供を受け、コア表面の汚染除去作業、溶存硫酸イオンの精製・分離、およびΔ17O(SO4)値の測定をすべて完了した。結果、Δ17O(SO4)値は過去2000年間にかけて3-5‰の範囲で有意な増減を示し、西南極のアイスコアを分析した先行研究データ(2-4‰)とは異なる傾向が観測された。 これに加えて、前年度に発見した「大気や雪中において、メタンスルホン酸(MSA)の酸化によってΔ17O(SO4)値が特異的に高い硫酸が生成される」という知見を踏まえ、同試料中のMSAイオン濃度の分析を実施した。さらに当初の計画に加え、火山噴火由来の硫酸の寄与を検討するため、マルチコレクター型誘導結合プラズマ質量分析法(MC-ICP-MS、東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻共用機器を利用)により、同試料のδ34S(SO4)値の分析も実施した。以上を含む化学指標との相関解析を行なった結果、いずれもΔ17O(SO4)値との明確な相関は見られなかった。このことから、アイスコア中のΔ17O(SO4)値は、①硫酸生成に関わる大気酸化反応経路の変化、②雪中でのMSA酸化による硫酸生成の寄与率、③大気への硫黄供給源の違い、といった情報を複合的に反映している可能性が示唆された。 また本年度は、前年度に発見した指標変質に関する知見を、国際学会において発表した。この知見は本研究の「Δ17O(SO4)値の変動要因の理解」という視点に限らず、「極域大気中のエアロゾル生成過程の理解」にも重要な研究として評価され、大気化学分野の国際学会において若手研究者ポスター賞を受賞した。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)
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[Presentation] Oxidation of methanesulfonate into sulfate at inland Antarctica evidenced by 17O-excess signature2021
Author(s)
Ishino Sakiko, Hattori Shohei, Legrand Michel, Chen Qianjie, Alexander Becky, Shao Jingyuan, Huang Jiayue, Jaegle Lyatt, Jourdain Bruno, Preunkert Susanne, Yamada Akinori, Yoshida Naohiro, Savarino Joel
Organizer
The International Governmental Atmospheric Chemistry project (IGAC) Science Conference 2021
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Author(s)
石野咲子, 服部祥平, Legrand Michel, Chen Qianjie, Alexander Becky, Shao Jingyuan, Huang Jiayue, Jaegle Lyatt, Jourdain Bruno, Preunkert Susanne, 山田明憲, 吉田尚弘, Savarino Joel
Organizer
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