Project/Area Number |
19J01859
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
西岡 友樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 土壌微生物叢 / 植物病理 / 連作 / 発病助長 / 微生物 / 細菌 / 糸状菌 / フザリウム病 |
Outline of Research at the Start |
環境調和型の土壌病害防除体系の確立には、適切な防除時期を把握し、農薬散布などの回数を極力少なくする必要がある。しかし農業現場では、病原菌密度が低いにも関わらず、激しく病害が発生することがあり、病原菌密度という指標のみでは土壌病害発生の説明が困難であった。そこで本研究では、土壌病害発生には病原菌以外の微生物の働きも関与するのではないかと考え、特に微生物の病害助長作用に着目し、土壌病害発生機構を解明することとした。最終的には、解明した病害発生機構に基づいて土壌病害発生の遺伝子診断技術を開発するなど、新規の土壌病害予察法への応用展開を考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、土壌伝染性植物病原菌に因る病害(フザリウム病)の発生に貢献する病害助長作用といった土壌微生物の新奇な活性を解明することを主目的として研究を進めている。当助成の2年度目の研究として、以下を実施した。 研究1. 土壌病害を助長する微生物叢の発掘-方法①(初年度の続き):初年度の研究では、土壌の理化学性や物理学性の影響を最小限に抑え、病原菌以外の土壌微生物叢がフザリウム病の発生に与える影響の評価が可能な実験系の確立に成功した。初年度で評価した36種類の土壌微生物叢に続いて、本研究では10種類の土壌について、各々の微生物叢がフザリウム病発生に与える影響を評価した。また、結果データの解析方法を昨年度から最適化した。その結果、全体の約43.5%の20種類の土壌微生物叢が有意に病害発生を抑制することが分かった。この結果から、全国の圃場土壌の多くはフザリウム病を抑制するような微生物叢が構築されていることが明らかとなった。その一方で、病害発生を助長するような土壌微生物叢は3 種類のみであり、土壌微生物の病害助長作用を解明する上での必要サンプル数には至らなかった。 研究2. 土壌病害を助長する微生物叢の発掘-方法②:今年度では、上記の実験と並行して新たな実験系の構築にも取り組んだ。農業現場においてフザリウム病が発生するメカニズムの1つとして、宿主植物の連作が知られている。研究実施者は、この連作障害を実験室内で再現する方法を考案した。現在では、考案した方法により、フザリウム病菌の宿主であるキュウリを連作することによる土壌微生物叢の変遷とそれに伴った土壌微生物叢の病害抑止性の変化を継続的に評価することによって、フザリウム病の発生を助長するような微生物叢並びに微生物群の特定を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度並びに本年度の研究によって、土壌の理化学性や物理学性の影響を最小限に抑え、土壌微生物叢がフザリウム病の発生に与える影響の評価が可能な実験系を利用して、合計46種類の土壌微生物叢の評価を実施したが、病害発生を助長するような微生物叢は3 種類しか見つからなかった。本研究の主目的である、土壌微生物による病害助長作用の解明を行うには、病害発生を助長するような微生物叢情報が多数必要であり、予定していた必要サンプル数(10種類)には至っていない。一方で、多角的に土壌微生物の病害助長作用を評価するため、新たな実験系として連作障害を実験室内で再現する方法を考案し、本方法により研究を進めてはいるが、当初の計画と比較して、現在までの達成度は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
土壌病害発生を助長する微生物叢をさらに発見するため、追加してサンプリングを行った土壌の微生物叢の評価を引き続き行っていく。また、本年度に確立した連作障害再現法を用いて引き続き実験を行い、フザリウム病の発生を助長するような微生物叢並びに微生物群の特定を目指す。
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