Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2020: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2019: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Outline of Research at the Start |
本研究では, 薄膜のエピタキシャル成長と呼ばれる現象を記述する数理モデルに由来する偏微分方程式の解の漸近解析を行う. 本研究で扱う方程式は四階放物型方程式に分類される型の偏微分方程式であり, 薄膜に関わる方程式に非常によく現れ, その重要性は認知されてきた. しかし, その解析の困難さから, 研究成果は拡散現象を表す方程式に代表される二階放物型方程式と比べて非常に乏しい. 本研究では, 取り扱う方程式が保存則という非常に有益な性質を持つことを考慮した解析を行うことにより, 一般に解析が困難とされる問題の解析手法の確立に挑む.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, 昨年度までに得られた結果のより詳細な性質の解析と一般の高階放物型方程式への拡張を行った. 以下, 得られた研究成果を具体的に述べる. まず, 昨年度行った Hans-Christoph Grunau 氏 (University of Magdeburg) と岡部真也氏 (東北大学) との共同研究に関連し, 高階放物型問題に対する正値性保存則の崩壊メカニズムの解明, 及び昨年度得られなかった閾値の特定に挑んだ. 結果として, 昨年度に得られていた結果の高階への拡張と, 閾値が一意に存在することの証明に成功した. さらに, 考える初期値の形をより一般の形に拡張することに成功した. 次に, 勾配型非線形項を有する高階放物型方程式に対する初期値問題について, 一様局所弱Lebesgue 空間を用いた時間局所解の構成を行った. ここで用いた関数空間の特色から, 「時間局所解が存在するための初期値が許容する特異性の示唆」「解の存在時刻に対する下からの評価」「時間大域解の存在」を示すことに成功している. また, 方程式の有する変分構造を用いることにより, 最大存在時間が有界である解が存在するための初期値に対する十分条件を導出した. なお, 本研究は石毛和弘氏 (東京大学) と岡部真也氏 (東北大学) との共同研究の結果を拡張したものである. 最後に, 昨年度行った岡部真也氏との共同研究の内容について, 二乗可積分な関数を初期値とした場合における弱解の一意存在を証明した. また, 得られる解の正則性をより追求することに成功した. 具体的には, 解の時間方向に対する正則性を改良することに成功した.
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