Project/Area Number |
19J10588
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平井 隼人 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2020: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2019: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ゲージ理論 / S行列 / 赤外発散 |
Outline of Research at the Start |
素粒子を記述する枠組みとしてゲージ場の量子論は現在最も成功している理論である。しかし、散乱解析において「赤外の光子・重力子を介した相互作用により、本来有限であるはずの散乱振幅が無限大に発散する」という赤外発散問題がある。この問題は、散乱粒子の漸近状態を人為的に自由粒子として扱い、相互作用の効果を無視していることに起因している。上記の問題を踏まえ、本研究では「赤外自由度の相互作用効果を正しく取り入れた漸近状態を用いて、素粒子の散乱理論を構築し、従来の解析手法との予言効果の違いを検証する」ことを目的とする。 さらに、漸近対称性との関係性も調べ、上記の理論をブラックホールの情報喪失問題にも応用する。
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Outline of Annual Research Achievements |
従来の解析においてS行列が赤外発散する原因として、電磁相互作用や重力相互作用は力の到達距離が無限大である長距離力であるのにも関わらず、遠距離での素粒子の相互作用を無視し、散乱解析における素粒子の漸近状態を自由粒子として取り扱っていることが考えられる。従って、私たちは素粒子の散乱現象における漸近状態に長距離相互作用の効果を取り入れることで赤外発散が生じないS行列の構成を図る研究を行った。 量子電磁力学において、赤外発散が生じないS行列に対する正しい漸近状態の候補としてFaddeev-Kulish(F-K)のドレス化状態が知られていたが、F-Kのドレス化状態はゲージ不変でないという問題があった。始めに、私たちはこの問題の解決を行った。従来の解析においてF-Kのドレス化状態のゲージ不変性の条件としてGupta-Bleuler条件が用いられていた。私たちはこの条件には相互作用の効果が正しく取り入れられていないことを明らかにし、相互作用の効果を取り入れた改良された(BRST)条件を導出した。さらに、F-Kのドレス化状態が導出した新しい条件の解であることを示すことでF-Kのドレス化状態がゲージ不変な状態であることを明らかにした。また、F-Kのドレス化状態に対する漸近対称性の電荷の作用を調べることで、F-Kのドレス化状態は電子が相対論的クーロン場に囲まれた状態であることを明らかにした。さらに、ドレス化状態間のS行列に対する拘束条件として漸近対称性に関する電荷の保存則を導いた。 これらの研究結果はF-Kドレス化状態の物理状態としての性質の良さ、数学的な整合性を裏付けるものであり、今後の赤外発散が生じないS行列の構成の研究の基礎となるものと期待できる。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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