サケ属魚類の母川刷込機構の分子基盤に基づく神経生理学的研究
Project/Area Number |
19J10799
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 嵩志 北海道大学, 水産科学院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2020)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | 遡河性回遊魚 / サケ属魚類 / 母川刷込 / 刷込 / 神経 / シナプス可塑性 / 嗅覚 |
Outline of Research at the Start |
遡河性サケ属魚類 (サケ類) は、降海時に母川固有のニオイ情報を刷込、産卵回帰の際には、刷込まれたニオイ記憶を想起して母川を識別し遡上する。サケ類の嗅覚刷込には、シナプス可塑性の重要性が示唆されているが、いまだ不明点が多い。本研究では、シナプス前部からの神経伝達物質の放出を制御するSNARE複合体の構成分子およびそれらの制御因子であるシナプス前部機能性分子に着目し、嗅覚刷込・想起時のサケ嗅覚神経系・脳におけるシナプス前部の分子神経基盤を明らかにする。特に、幼稚魚の降海期を細分化して標本採集し、詳細なSNARE分子の発現パターンを解析し、サケ類の降海齢の種差とSNARE発現の関連についても解析する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
遡河性サケ属魚類 (サケ類) の母川刷込と神経伝達物質およびその受容体との関連は示唆されている。しかし、神経伝達物質を放出するシナプス前部の神経分子のサケ類の刷込形成との関連は不明であった。本研究は、シナプス開口放出を制御するSnare複合体とその制御因子のサケ類の嗅覚刷込への関与を示すことを目的とした。 昨年度に得られたサケとカラフトマスに加えて、ヒメマスとサクラマスでもSnare分子の翻訳領域のcDNAクローニングを実施し、回遊パターンの異なる種間・生活史多型での発現量比較を行う基盤を整備することができた。 サケでは、嗅覚中枢である嗅球と多感覚の統合に関わる終脳でのSnare分子の発現領域を明らかにするため、in situハイブリダイゼーション解析を行った。各Snare分子は、嗅覚の一次および高次の投射領域と記憶形成に関わる海馬の機能的相同領域に発現しており、嗅覚情報の伝達と嗅覚記憶形成に関わることが示唆された。 昨年度までに実施したサケの生活史の主要なステージ間で嗅神経系のsnare分子の発現量を比較した解析では、稚魚期で高値であった。そこで本年度は、稚魚の河川内の降河に着目し、放流後の日数により詳細なステージ区分を設けて比較した。放流直後の個体では、Snare分子の発現量が降河行動を開始する前の仔稚魚および降海後の幼魚に比べて高値であった。このことから、サケ類稚魚の嗅神経系におけるシナプス可塑性は降河を開始する放流直後に一時的に高まると考えられた。 本研究では、サケ類の嗅神経系に発現するシナプス開口放出関連分子の一次構造を明らかにし、サケおよびカラフトマスの回遊に伴う発現変化から嗅覚刷込・想起との関連を示すことができた。また、これらの分子を指標として、サケ類幼稚魚の嗅覚刷込活性を推定可能であると考えられた。
|
Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)