Project/Area Number |
19J11334
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷川 みらい 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2020: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2019: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 官業払下げ / 開拓使 / 工部省 / 日本近代史 / 日本経済史 / 工場払下概則 / 開拓使官有物払下げ事件 / 会計検査院 / 大隈重信 / 佐佐木高行 / 大島高任 / 小坂鉱山 |
Outline of Research at the Start |
明治期日本の官業払下げに関する総合的な研究である。官業払下げの過程において、工業化、外国からの独立、国民一般の納得を得られる公明性、あるいは藩閥の関係等のうちいずれの価値が重視されるのか、直接の影響を被る地元の人々の意向がどのように扱われるのかといった諸点は、日本の近代化の本質的な点を映し出すと考えられる。このような関心から本研究では、近年利便性が改善した史料を幅広く用いて、官業払下げの過程全体を見直したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
明治期日本の官業払下げがいかなる力学のもとで進行したのか、政府・民間事業者・払下げ対象となる工場・鉱山の地元の人々の三つの視点から検討し、明らかにしようとする研究である。 2020年度には特に、北海道における官営事業と払下げに関する研究に注力した。明治14年の開拓使官有物払下げ事件は、開拓使(北海道を管轄する官庁)の官吏が退官して「北海社」という会社を組織し、開拓使の主要な事業の払下げを受けようとしたものの、ジャーナリズムの批判を受けて中止したもので、明治14年政変の引き金となった。この北海社構想は、明治13年6月に開拓使が東京に設置した部局「物産取扱所」の組織・業務をほぼそのまま引き継ごうとしたものであったことを明らかにした。物産取扱所は、北海道に設置された官営工場の製品やその他の北海道産品の輸送・販売という商業的な業務を、商人に任せず官員が自ら行うべきだという、開拓長官黒田清隆らの強い意志を反映して設けられた部局であった。物産取扱所の源流は、幕末、箱館奉行の傘下に置かれていた箱館産物会所にまでさかのぼることができるが、箱館(函館)に拠点を置く商人を中心とするかつての体制の否定の上に、物産取扱所および北海社構想は成り立っていた。 北海道をフィールドとする以上のような研究成果から、官業払下げを捉える際、「政府対民間事業者」という関係のみならず、「中央対地方」という関係に注目する必要があることが、改めて明らかになった。群馬県の新町紡績所(論文発表済み)や、秋田県の小坂鉱山(2020年度に掲載決定)の事例を見れば、いずれにおいても地域社会の動向が中央政府の意図した払下げの足かせになっている。今後はこのような見通しの下で、北海道とその他地域の両面に目を配り、近代日本史における官業払下げの意味について検討を深める予定である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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