日本近世史における幕府支配の特質と矛盾-触伝達を中心として
Project/Area Number |
19J11556
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
糸川 風太 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2020)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2020: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2019: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 海上統制 / 海事支配 / 海事 / 廻船御用達 / 幕府権力 / 浦触 / 河村瑞賢 / 東西海運 / 触 / 支配 / 形式 / 廻達 / 領主 / 御城米 |
Outline of Research at the Start |
本研究は幕府が全国に発給した御触書をどのように被支配者は受取・処理したか、また幕府が自身の財政に関わる年貢米の回漕や、外交に関わる異国人の護送の実施に関して、被支配者はどのように対応したかを問うことで、幕府の全国支配を原理論ではなく、運用と実態面からアプローチし、さらに被支配者の動向を踏まえることで、その矛盾を描きだし、全国支配の特質と内実を明らかにするものである。その際、そのような支配を直接うける「被支配者」の地域における立ち位置に注意を払い、その存在形態を明らかにすることを前提とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は近世の日本において、幕府海事支配の構造的特質と矛盾を明らかにすることを目指した。 本年度は幕府海上支配の構造・制度的側面とそれを実施する担い手について検討を進めた。特に全国の幕府領年貢米であり幕府財政の基礎である「御城米」の江戸・大坂回漕体制から、幕府の浦触発給や、航路上の拠点湊の役人である「御城米役人」の活動を通じて、海上統制における基本的政策をみた。同役人を勤めた家の史料や、東西海運を整備した河村瑞賢の手代を務めた家の菩提・瑞賢家族の墓所の調査を通じて、幕府の国家的事業の顕れ、そして国家的財政の成立と捉えられていた瑞賢等の東西海運事業は、実は伊勢国南伊勢地域の瑞賢の血縁・地縁的存在によって担われていたことを明らかにした。 また近世初頭以来、海上御用を担い続けてきた讃岐国塩飽廻船の検討を通じて、御城米回漕という事業が、従来制度的に体系化された「役」的なものと理解されていたが、実際は大坂代官と塩飽船頭との交渉や、他の廻船問屋の運賃設定のせめぎ合いの中で「請負」われたものであることを論じた。その後、塩飽廻船に代わって台頭してくる大坂・江戸の廻船問屋についても、その史料的分析から、幕府勘定所は彼らを御用達商人に編成するも、実際の廻船調達や運賃設定は彼らの差配に依存せざるを得ない構造を持っていたことを明らかにした。 以上の検討から、幕府の海上輸送は幕府勘定所・代官―瑞賢・塩飽廻船・廻船問屋といった支配関係と(後者の)廻船商人―廻船といった雇用関係の二重構造により基本的に成立しており、幕府の「御用船」は本来的に実力手段を持たない民間商船となり、それ故に幕府は航路上の安全を期すために浦触発給や御城米役人設置を進めるが、その運用は各地の領主権力が担っていた。幕府の日常的海事御用において廻船の直接編成がついに展開しなかった事実を踏まえて、幕末の情勢を展望した。
|
Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Report
(2 results)
Research Products
(6 results)