Project/Area Number |
19J12378
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 美佳 九州大学, 人文科学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 朝鮮史 / 出版社 / 新文館 / 崔南善 / 児童雑誌 / 博文館 / 内外出版協会 / 教科書 / 雑誌 / 翻訳 / ジェンダー |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近代朝鮮を代表するような出版社であった「新文館」を日朝相互の影響関係のなかで捉え、「一国史」的に分析されてきた近代朝鮮の出版文化史に新たな知見を加えようとするものである。 「博文館」、「実業之日本社」といった日本の出版社の刊行物および関連史料との比較・対照、ならびに「新文館」の設立者である崔南善の出版活動に携わった日本人に関する分析を通して出版社「新文館」の実態を解明し、日本とのいかなる相互関係において事業を展開していたのかを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き新文館の刊行物の実態解明を目標に研究を進めた。 まず、新文館が1910年代に着手した児童雑誌について、その成立過程を当時の朝鮮の状況や同時期の日本の児童文学界との影響関係の中で分析し、多数の日本の刊行物を参照して構成されていることを解明した。新文館の児童雑誌は、翻訳物と合わせて「朝鮮的なもの」の掲載も多くの比重を占めるなど、1910年の韓国併合による喪失が懸念される朝鮮の伝統や文化を保存しようとする意図も込められていたといえる。 また、雑誌のみならず新文館の単行本についても考察を加えた。まず、朝鮮の「文庫」本の嚆矢とされる「十銭叢書」等のシリーズものについて分析し、これらは主力商品であった雑誌を補完するものとして位置付けられ、ハングル表記や固有語の創出が実験的に行われるなど、雑誌刊行に向けた試行錯誤の産物であったことを明らかにした。また、日本の刊行物が翻訳され、企画や形式面での影響もうかがわれるなど、雑誌に加え単行本においても同時期の日本の出版界との関連性がみられることを示した。特に、新文館は内容面では修養書を重視するという方向性が一致した内外出版協会の刊行物を多数用いつつも、形式面では当時の日本を代表する出版社であった博文館を参照するなど工夫を凝らしていた。 さらに、朝鮮「最初の近代的文範入門書」と評される『時文読本』について考察し、刊行にあたって当時の日本における代表的な中等国語教科書であった『中等国語読本』に多く依拠していたことを明らかにした。一方で、『時文読本』には編者の思想を反映した新文館の既刊物の記事が再掲されるなど、メッセージの伝達媒体としての機能も果たしており、日本の中等国語教科書を雛型として、独自の要素を加え再編成したものであったといえる。 以上の研究成果について、国内外の学会(オンラインを含む)で報告し、三篇の論文で発表した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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