Project/Area Number |
19J12497
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中尾 元紀 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2019: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 国際人権法 / 欧州人権条約 / 自由権規約 / 領域外適用 / 時間的管轄 / 積極的義務 / 調査義務 / 過去の不正義 / 時間的適用 / 移行期正義 / 被害者救済 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、国家が自国領域外で行った人権侵害的行為に、人権条約と呼ばれる国際諸条約の適用が認められるかという問題(人権条約の地理的適用)を検討するものである。そのような行為の中には、例えば第二次世界大戦期にドイツが欧州各国で行った虐殺が典型的なように、戦後発効した人権諸条約が少なくとも直接には適用されないものがある。この時間的適用という問題は、前述の地理的適用とは区別して論じられてきた。他方で本研究では、国家の積極的義務という概念を介在させることで両適用理論を体系的に整理できるのではないかとの着想のもと、このような人権保障の限界事例において、いかなる要素が適用範囲を画するのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画で予定していた個々のテーマについて検討を進め、人権条約の場所的・時間的適用範囲画定における個別的権利規定の働きについて一定程度把握することができた。
場所的適用については、ユヴァル・シャナイの研究を足がかりに前年度に行った分析を深め、場所的管轄の有無を、締約国が義務を負うに相応しい立場にあるかどうかから評価する「相応性モデル」を提示した。また、学説上の位置づけに関しては、場所的管轄解釈に権利義務の内容を反映させるという意味で、「相応性モデル」は「管轄」解釈における(権利)性質説の一種であることを指摘するとともに、性質説の実証的根拠および理論的優位性を提示した。その成果は、2022年5月現在、博士学位論文「人権条約の場所的・時間的適用理論と積極的義務―実体的権利義務解釈との融合的現象」に表されている。
次いで時間的適用に関して、欧州人権条約と自由権規約の実行を分析し、(1)欧州人権裁判所は、欧州人権条約第2条の手続的義務の性格を、時間的管轄の検討の中に落とし込み、殺害事件等が条約発効前に生じたのものであっても、一定の条件下で調査義務の適用を認めてきたこと、(2)実効的な調査を可能とする事実的・時間的要素、および加害行為の深刻さに対する評価によって調査義務の適用可能性が異なりうるとする実行は、裁判所が遡及的帰結の回避―条約発効前の事態について間接的に責任をとらされる構図を脱すること―に拘泥せず、現代の視点から見て調査を実施すべき状況にあるかどうかを総合的に判断していること、などを解明した。その成果は、上記博士論文、および『阪大法学』に掲載予定の2本の論文(「生命権および身体保全の権利から生ずる積極的義務の時間的範囲(1)」および「生命権および身体保全の権利から生ずる積極的義務の時間的範囲(2・完)」。それぞれ2022年5月および7月公開予定。)に示されている。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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