Project/Area Number |
19J12919
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一戸 凌 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2021-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2020: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2019: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 放散虫 / 原生生物 / 採餌 / 仮足 / 受動的空間行動 / 形態 / 適応 / 飼育 / 行動解析 |
Outline of Research at the Start |
有殻プランクトンの放散虫は,顕生累代を通して進化・多様化を遂げ,それは微化石の形態情報として記録されてきた.一方で,各形態が持つ機能や適応についての議論は少なく,進化古生物学的側面は未解明な点が多い.現生放散虫の観察から,体表から伸びる細胞質の突出である仮足が,水深維持や摂餌など生命活動に必須となる行動に重要であることが示唆されており,同時に仮足の配列は殻形態に強く制約される.そこで,個体の多方面撮影および仮足固定法による仮足配列の定量化,流体中での仮足伸長個体の挙動を観察する飼育実験,空間分布の解明をもとに,放散虫の形態多様性に対し仮足と殻形態に注目した新たなアプローチから議論を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
原生動物プランクトンの放散虫は遊泳能力に乏しく,水柱では重心・浮心や形状抵抗に依存する受動的空間行動の中で生命活動を行う.殻,仮足とも高い形態的多様性を持つ放散虫は各形態型に特有の空間行動特性があり,生態とリンクすると予想される.そこで,平板形スプメラリア類に加え,1本の長いaxial projection (XP) と呼ばれる仮足と装飾の無い殻を持つEucyrtidium spp.,特殊化した仮足が無く,殻にbasal feet構造を持つPterocanium spp. の2タイプの円錐形ナセラリア類を対象に空間行動特性と外洋での空間分布との関係を議論した. 行動解析では水槽底部の個体を水平方向から撮影し,個体の挙動と周囲の流れを復元した.そして,底面から浮上時の流速を仮足が流れを受ける性能の指標とした.浮上時の流速はEucyrtidium spp. > 平板系種で,Pterocanium spp.は他2タイプの浮上時流速でも浮上しなかった. 白鳳丸KH18-6インド洋航海で採集された層別プランクトン標本を顕鏡した結果,平板系種およびEucyrtidium spp. は0-60mの浅い水深に,Pterocanium spp.は密度躍層が明瞭な測点では躍層以深に,躍層が観測されない測点では60mより浅い水深にも生息した.これは仮足が周囲の流れを受ける性能が高く,周囲の流体に対する相対速度を創出しにくいタイプほど浅い水深に生息する傾向であり,一般に浅い水深は風成循環により流速が速くなることから,この流速により生命活動に必要な相対速度を創出する可能性がある.また,Eucyrtidium spp.の採餌機構であるXPは表面積が大きく,低い相対速度の中でも安定した採餌機会を創出する役割が示唆される.これら放散虫の流体力学的特性と,空間分布を関連付けた議論は独自性が高い成果と言える.
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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