Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究は、日本における宋風喫茶法の受容と変遷を明らかにする手がかりとして、喫茶に用いられた天目の歴史像の解明を目的とする。まず、考古学的観点から、消費地の出土品に基づき、歴史研究の基礎である編年を構築する。自ら構築した中世京都の天目編年研究に続き、近世天目の編年研究に取り組み、さらに他地域遺跡の出土資料によって京都編年を補完することで、中近世を通貫した年代軸を完成させる。そして、この消費地編年に基づき、中近世日本における天目の使用法の変遷を明らかにし、絵画や文献資料を用いた多角的な検討を通じて、天目を用いる喫茶文化の受容形態の解明を試みる。
令和3・4年度当初の計画では、(1) 中近世日本における全国的な天目の消費動向を把握するために、近世遺跡が集中する東京・大阪の出土品の資料調査を行う。また、伝世品についても、東京国立博物館・出光美術館・京都国立博物館・大阪市立東洋陶磁美術館・徳川美術館等の所蔵品の調査を行う。(2) 日本国内出土天目の産地を特定するために、国産品の主要な供給地と目される長崎県有田町と佐賀県唐津市の窯跡出土品、福建省の窯跡出土品を調査する。新型コロナウイルスの影響で令和2年から研究を順調に展開できなかった経緯もあり、これまでの進捗の遅れを補いつつ、京都の出土資料と史料整理を中心に研究を進めた。具体的に実施した作業と研究成果は以下のとおりである。①京都における近世国産天目の出土事例を実見・実測し、図面作成および事例分析を行った。収集したデータに基づいて、京都出土の中近世天目の編年を統合し、京都を一つの地域モデルとして時期別に出土量と出土分布の分析を行った上で、中近世日本における天目の使用変遷を論文として令和5年度に報告する予定である。②これまで収集した天目に関わる文献史料の分析に取り組み、文字や絵画など記録と出土品を照らし合わせて、天目の歴史の立体的な描写に努める。③現在流布する天目の名称や由来などの通説の変遷を明らかにするため、江戸時代から近代までの百科類書や骨董関連書籍を収集・分析した。そのほかに、令和3・4年度の研究成果の一部をSEAA9(Ninth Worldwide Conference of The Society for East Asian Archaeology)で発表した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2022 2021
All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)