Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
我が国では骨粗鬆症が増加しており、高齢者のQOLを左右するだけでなく、骨折による寝たきりは「医療費の増加」や「介護」と行った大きな社会問題となっている。現在骨粗鬆症の治療にビスホスホネート(BP)製剤が用いられているが、顎骨壊死などの有害事象が報告されている。今回私は新たな骨吸収制御因子を同定し、その機能を明らかにすることを目標にしているが、本研究成果は、新たな創薬の標的になる可能性もある。
破骨細胞の骨吸収は、破骨前駆細胞から破骨細胞への「分化」と分化した破骨細胞が骨を認識して吸収する「活性化」の2つのプロセスに大別される。非受容体型チロシンキナーゼc-Srcを欠損したマウス(c-SrcKO)は、破骨細胞が存在するにも関わらず、骨吸収不全による大理石骨病を呈することから、破骨細胞が骨吸収機能を発現する過程でc-Srcが必須の分子であると考えられている。しかし、c-Srcの下流分子については、幾つか候補分子が示されているものの統一した見解は得られていない。本研究では、野生型およびc-SrcKOマウス由来破骨細胞間で発現量の異なる遺伝子群を網羅的に解析した後に、real-time PCRによる検証、および文献情報をもとに、候補分子群の絞り込みを行った。その中で、c-Srcの下流で骨吸収に関与する分子としてLC3Aに着目した。LC3Aはタンパク質レベルでもc-SrcKOマウス由来破骨細胞で発現量が低下していた。さらにLC3の選択的阻害剤は、破骨細胞分化と成熟破骨細胞の骨吸収を抑制した。しかし、LC3Aを過剰発現してもc-SrcKOマウス由来破骨細胞の骨吸収能を回復できなかった。これらの結果は、c-SrcKOマウス由来破骨細胞の骨吸収能を回復するにはLC3Aだけでは不十分でLC3A以外の分子の関与が示唆された。次にLC3の選択的阻害剤をマウス歯周病モデルに局所投与すると、歯周病による骨吸収を抑制した。全身投与と比較して局所投与で効果を示せれば、比較的副作用の可能性を軽減できる上に、現在まで歯周病に有効な治療薬がないことから、LC3の選択的阻害剤が歯周病治療薬の候補の1つになる可能性がある。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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All Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 5 results, Open Access: 4 results) Presentation (1 results)
Journal of Endocrinology
Volume: -
Bone
Volume: 135 Pages: 115316-115316
10.1016/j.bone.2020.115316
Journal of Cellular Biochemistry
Volume: 120 Issue: 11 Pages: 18793-18804
10.1002/jcb.29193
Cells
Volume: 8 Issue: 12 Pages: 1636-1636
10.3390/cells8121636
Cell Biochemistry and Function
Volume: 2019 Issue: 3 Pages: 1-9
10.1002/cbf.3476