Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
プベルリンC、リコクトニン、アコニチンは、いずれも高度に縮環した6環性骨格上に多数の連続する不斉中心および極性官能基を有するC19ジテルペンアルカロイドである。これらの化合物は、炭素骨格および骨格上の酸素官能基の置換様式が異なり、かつ多様な生物活性を示す。しかし、その複雑な構造のため、異なる炭素骨格、極性官能基の置換様式をもつC19ジテルペンアルカロイドを、共通の中間体から統一的に合成する手法は存在しない。本研究では、プベルリンCの効率的な全合成経路の確立、およびプベルリンCの骨格変換によるリコクトニン、アコニチンの全合成を通じた、C19ジテルペンアルカロイドの統一的合成法の確立を目的とする。
今年度、私は、6環性アルカロイドの統一的全合成に向けて、プベルリンCを標的天然物として設定し、その全合成研究を推進した。まず、昨年度までに確立した炭素骨格構築法をより大スケールで適用し、プベルリンCの特異な6環性骨格を有する化合物を再現良く合成した。得られた6環性化合物から、C環およびD環の位置、立体選択的な官能基変換を検討した。昨年度確立した手法は、再現性の面で課題を残していた。そこで、いずれの変換に関しても、反応条件、後処理および精製条件に関して詳細な条件検討を行った。特に、第三級アミン部位の安定性が収率に影響していることを見出し、後処理および精製条件を最適化することで、再現性の高い実験操作の確立および収率向上を実現した。続いて、中央B環の官能基化を行った。この際、反応性の高い第三級アミンが反応に関与することを明らかにし、詳細な条件検討を経て最適条件を見出した。最後に、プベルリンCの全合成において課題となる、B環上のへの酸素官能基導入法を検討した。本反応は、立体的に極めて混雑した位置への官能基導入であるため、極めて挑戦的である。使用する強塩基、反応温度、および酸化剤を精密に検討することで、所望の酸素官能基導入法を見出し、プベルリンCの全合成を達成した。以上のことから、本年度得られた研究成果は、プベルリンCを含む6環性アルカロイドの統一的全合成に向けて極めて重要な知見である。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Bulletin of the Chemical Society of Japan
Volume: 94 Issue: 3 Pages: 973-983
10.1246/bcsj.20200400
130008021780