トランスクリプトーム解析に基づく植物受精卵の極性化機構の解明
Project/Area Number |
19J30006
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
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Research Institution | Tohoku University (2020) Nagoya University (2019) |
Principal Investigator |
木全 祐資 東北大学, 生命科学研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2019-04-25 – 2022-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 胚発生 / 細胞極性 / 受精卵 / トランスクリプトーム / シロイヌナズナ |
Outline of Research at the Start |
植物の主要な体軸である頂端ー基部軸は受精卵の不等分裂によって確立される。しかしながら、遺伝子の冗長性などが原因でその制御因子はほとんど同定されていない。本研究では、不等分裂の未知の制御因子を同定するべく、受精卵を単離してトランスクリプトーム解析を行う。これまでの研究から、不等分裂の制御には受精後の転写活性化が必要であることが示されているため、野生型と転写活性化因子の欠損株の受精卵で遺伝子発現を比較することにより、不等分裂の実働因子を網羅的に探索する。また、独自に確立したライブイメージングによって、候補因子の機能を詳細に解析する。これらを達成することで、植物の体軸形成の根本原理の解明につながる。
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Outline of Annual Research Achievements |
受精後に活性化される既知のシグナル経路で転写され、受精卵の極性化を担う実行因子を同定するべく、1細胞期胚を胚珠から単離してRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を実施した。まず、少数の細胞から効率よくcDNAを合成できるSMART-seq法を導入し、より少数の胚からのRNA-seqを実現することを目指した。cDNA合成のサイクル数やシーケンスライブラリーの濃縮のサイクル数を微調整した結果、20個の野生型胚から再現性の高いRNA-seqデータを得ることに成功した。そこで、野生型、wrky2 hdg11/12三重変異体、yda変異体から、それぞれ複数回のRNA-seqを実施し、それぞれの変異体背景で野生型よりも有意に発現量が低下した遺伝子を探索した。 結果として、wrky2 hdg11/12三重変異体で発現低下する遺伝子に注目したところ、200個程度まで絞り込めた。さらに、先行研究で未受精の卵細胞と比べて、受精後に発現上昇することがわかっている遺伝子絞り込んだ結果、20個程度の候補遺伝子群を得た。これらの中には、wrky2 hdg11/12三重変異体で発現量が大きく低下することが知られているWOX9が含まれていたことから、今回同定された候補遺伝子群の中から、未知の極性化の実行因子を同定可能であると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
受精後に活性化される既知のシグナル経路で転写され、受精卵の極性化を担う実行因子を同定するべく、1細胞期胚を胚珠から単離してRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を実施した。まず、少数の細胞から効率よくcDNAを合成できるSMART-seq法を導入し、より少数の胚からのRNA-seqを実現することを目指した。cDNA合成のサイクル数やシーケンスライブラリーの濃縮のサイクル数を微調整した結果、20個の野生型胚から再現性の高いRNA-seqデータを得ることに成功した。そこで、野生型、wrky2 hdg11/12三重変異体、yda変異体から、それぞれ複数回のRNA-seqを実施し、それぞれの変異体背景で野生型よりも有意に発現量が低下した遺伝子を探索した。 結果として、wrky2 hdg11/12三重変異体とyda変異体で共通して発現低下する遺伝子に注目したところ、200個程度まで絞り込めた。さらに、先行研究で未受精の卵細胞と比べて、受精後に発現上昇することがわかっている遺伝子絞り込んだ結果、20個程度の候補遺伝子群を得た。これらの中には、wrky2 hdg11/12三重変異体で発現量が大きく低下することが知られているWOX9が含まれていたことから、今回同定された候補遺伝子群の中から、未知の極性化の実行因子を同定可能であると期待できる。 続いて、同定された候補遺伝子群の機能を探るべく、細胞骨格の関連因子や、雌しべ・胚珠で特異的に発現する遺伝子に注目し、はじめの解析対象とする遺伝子を選抜した。現在、これらの遺伝子群の細胞内局在を調べるために、蛍光タンパク質を融合したコンストラクトを作成し、マーカーライン植物の作出を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、候補因子に蛍光タンパク質を融合したコンストラクトの作成を進めている。これらを順次シロイヌナズナに導入し、卵細胞や受精卵での局在を観察する。興味深い局在を示した遺伝子については、CRISPR-Cas9による遺伝子破壊株を作出し、受精卵の不等分裂に異常が出るかを確認する。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)