近代日本における「世界の諸宗教」像の展開に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19K00086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
星野 靖二 國學院大學, 研究開発推進機構, 教授 (50453551)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 「世界の諸宗教」像 / 宗教のイメージ / 比較宗教 / 近代日本宗教史 / 近代と宗教 / 仏教 / キリスト教 / 翻訳 / 宗教概念 / 宗教についての知 |
Outline of Research at the Start |
現代日本において「世界の諸宗教」という言葉を用いるとき、そこに仏教やキリスト教など幾つかの宗教伝統が含まれるというのが一般的な感覚であり、かつそれらが類型論において説明されることがある。それでは、そのような「世界の諸宗教」像は、いつから、どのように提示され、また受容されてきたのだろうか。本研究は、この「世界の諸宗教」像の近代日本における展開を、近代という同時代性を念頭に置いてトランスナショナルな比較の視点を組み込みながら検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代日本における「世界の諸宗教」像の形成過程について、いつから、どのようなものが、どのようにして流通するようになったのかといったことを検討するものである。 2022(R4)年度の成果として、引き続き基礎作業となる資料調査・整理を進めた。特に、以前から内容の検討を行っていた『日本之教学』という雑誌を焦点として、明治二〇年代初頭の宗教をめぐる議論について検討した。論文採録誌である同誌は、編集方針として、諸宗教を中立・公平に取り上げようとする姿勢を掲げており、実際に特定の宗教伝統を弁証しようとする姿勢はそれ程見られない。しかし同時に、内容の統一性が弱く、「世界の諸宗教」についての知が未だ平準化されていないことが窺われる旨、指摘した。その上で共有されている論点について考えるならば、時代と共に人智が開け、より高等な宗教が出現する、あるいは必要とされるという宗教進化論的な感覚が窺われることについても述べた。 また、引き続き黒田行元(麹廬)の明治初期の著作における宗教に関する記述を考察し、明治初期における「世界の諸宗教」像の描かれ方を検討した。黒田がプロテスタントをより優越的な宗教として描いていること、またカトリックへの批判も散見されることなどを確認したが、黒田は必ずしもプロテスタントの弁証を意図していたわけではなく、もっぱらプロテスタント文化圏の書籍を参照していたことからくるものと考えることができる。他方、黒田自身の解釈として、全ての高等な宗教に「天」との関わりを措定していたことも確認できたが、これは例えば儒教の素養を背景とした中村正直のキリスト教理解にもつながるものがある旨、指摘した。 研究成果として、日本語論文を一本発表し、また日本語での学会発表を一回行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
引き続き、文献資料の整理、電子化を進め、それらの調査・研究については一定の成果を得た。 しかし、資料調査のための国内・海外出張と、国際学会での報告について、特に2022年度前半においては、COVID-19をめぐる状況を受けて中止・延期しており、その点において研究計画に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時には2022年度を最終年度として計画していたが、COVID-19の影響を受けて、研究計画の進捗に遅れが生じていることに鑑み、1年間の延長を申請し、2023年度が最終年度となる。 文献資料の調査・研究を引き続き進める一方で、延期していた資料調査のための国内・海外出張と、国際学会での報告を行い、全体のまとめを行う。今後の見込として、既に2022年度末に一度海外資料調査を行い(執行時期が年度末であったため、予算執行的には2023年度扱いになる)、また2023年夏には国際学会での報告を行うことになっており、一定の進捗を見込んでいる。
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Report
(4 results)
Research Products
(15 results)