Project/Area Number |
19K00130
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
濱崎 友絵 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (90535733)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 音楽伝承 / トルコ系移民と音楽 / ディアスポラ / トルコ系移民 / ドイツ |
Outline of Research at the Start |
1960年代以降、ドイツに定住していったトルコ系移民たちは、音楽組織や社会文化的自助組織であるデルネッキを創設し、自国の音楽や文化を次世代に受け継いできた。ではドイツ社会においてトルコ系移民の人々は、自分たちの音楽をどのようなものとして捉え、またいかに伝え学び取ろうとしているのか。本申請研究は、とくにトルコ民俗音楽を例に、祖国から離れたドイツ社会の中でこの音楽が再編され、伝承され形づくられていくメカニズムを、「正統性」の問題を射程に入れつつ現場に基づくミクロ的観点から解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ディアスポラ下にあるトルコ系移民の民俗音楽伝承がいかなる形で成立しているのかをフィールドワークを軸とした実証研究によって明示することである。2022年度においては、コロナ禍によって延期していた現地調査が実施できたことから、ドイツおよび比較対象地としてオランダにおけるトルコ系移民の音楽学校において聞き取り調査をおこなった。ドイツにおいては、ケルン市を中心にトルコ音楽教育機関を網羅的に整理したSeckin(2018)の成果を手掛かりに、とくにトルコ民俗音楽教育に力を入れている、ケルンのアナトリア芸術センター(ASM)においてバーラマ(トルコの撥弦楽器)教員を中心にインタビューを実施した。またオランダにおいては、オランダ初のトルコ音楽教育機関Sanatoliaのセンター長らにインタビューなどを実施することで、楽譜に基づく音楽教育システムの展開とともに、移民世代間のトルコ文化・音楽理解の格差、民謡に付随する祖国の歴史や「なつかしさ」といった感情との接合など、「伝承」にともなう数多くの問題・課題が明らかとなった。 上記については2023年度も現地調査を引き続きおこない、成果をまとめていく予定である。なお2022年度における関連する成果としては、シンポジウム・パネリストとしての発表(「トルコ共和国と民俗音楽」、京都大学)や学会発表(「A. A.サイグンのトルコ民俗音楽研究――バルトークとの交差を射程に」、日本音楽学会第73回全国大会)、事典項目執筆(「地域ごとの音楽(トルコ)」他、イスラーム文化事典編集委員会編『イスラーム文化事典』丸善出版社、2023年1月)などが挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は各所にインタビューなどを含め現地調査をおこなえたことで、研究の推進を図ることができた。しかしながらこれまでのコロナ禍のため、フィールド調査の催行を見合わさざるを得なかったことから、当初の計画全体の進捗に関してはやや遅れている状況となっている。2023年度においては現地調査が可能な状況となったことから、音楽学的観点からの研究の方法論や分析フレームの検討や主に二次資料の収集・検証なども含めて研究の推進を図る。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度においても、引き続き研究の方法論とフレームワークの妥当性について検討を進めつつ、音楽伝承にかかわる視点を拡張・展開するため、ドイツのみならず、オランダ等、他のヨーロッパ諸国の事例にも目を向け現地調査をおこなう予定である。とくに今年度の調査では教育機関に通う一般の参加者(とくにトルコ系移民の第3、第4世代)にインタビューを実施する計画である。同時に音楽学をはじめ、社会学や文化人類学領域の成果を参照することで分析フレームの検証を進めつつ、比較対象として日本における民俗音楽伝承のメカニズムも視野に入れ考察を進めていく。
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Report
(4 results)
Research Products
(4 results)