The body of Buddha and Representation - Investigating the Foundation of Japanese Religious Art History
Project/Area Number |
19K00168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長岡 龍作 東北大学, 文学研究科, 教授 (70189108)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 盧舎那仏 / 梵網経 / 大相国寺 / 啓聖禅院 / 栴檀瑞像 / 清凉寺釈迦如来像 / 朝陽北塔 / 顕密融合 / 法身舎利 / 五輪塔 / 月輪 / 願成就院 / 樺崎寺 / 好相行 / 悔過 / 東大寺大仏 / 空海 / 奝然 / 法成寺 / 生身仏 / 仏像 / 神像 / 仏身論 / 生身 / 法勝寺 / 清凉寺 / 本地垂跡 / 蓮華蔵世界 |
Outline of Research at the Start |
「仏身論」は仏の身体(仏身)を法身・報身・生身・化身として位置づけ、本質と現れという関係から仏のあり方を理解する思想である。日本の宗教美術は、この思想を基盤として美術の内部にさまざまな「仏身」の表象を組み入れた。本研究は、i)伽藍・堂宇、ii)仏教造像、iii)神表現という各表象の具体的事例の調査及び文献読解をおこなうことで、それぞれにおいて仏身がどのように表象されているかを解析する。この作業は、個別作例への理解の深化をもたらすと同時に、従来別個に独立していた問題群を統合的に把握する観点をもたらすと期待できる。美術史研究に新たな視座を持ち込む創造的な研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は中国北宋・遼の造形について考察を加え、清凉寺釈迦如来像が依拠する仏身論が北宋・遼の事例とどのような関係を持っているかを探究した。 (a)開封の伽藍の仏身論:啓聖禅院と大相国寺の伽藍には、いずれも「千百億釈迦」が存在した。これはこの伽藍に『梵網経』に基づく、盧舎那仏とその化身の釈迦という仏身論が適用されていることを示す。また、大相国寺には『華厳経』に基づく仏身論により、盧舎那仏と眷属を伴う文殊・普賢像が安置された。この眷属中には、善財童子が含まれていた可能性が高い。北宋王朝の枢要寺院である啓聖禅院と大相国寺に出現した仏像と伽藍の構成原理は、大きな影響力を持ったと想定される。 (b)盧舎那仏像の姿:共通していたと想定される啓聖禅院と大相国寺の盧舎那仏の像容を探究した。その際に注目すべきは、両手を左右に拡げて構え掌を上に向ける印相(新印相)である。杭州飛来峰の盧舎那仏(乾興元年・1022)の印相として従来から注目され、鎌倉時代日本でも受容されたことが知られる。山西省長治博物館所蔵の盧舎那仏像は、頭上に五体の坐化仏を戴き新印相を執る。また、台座の千枚の蓮弁それぞれに仏坐像を配している。『梵網経』に基づく新印相の盧舎那仏として同像の重要性は高い。 (c)顕密融合の仏身論:北宋雍煕二年(985)の清凉寺釈迦如来像の仏身論は、『梵網経』・『華厳経』に基づきつつ、顕密を融合させるという点に特色がある。朝陽北塔天宮発見の木胎銀棺には、法身仏として大日如来が表現されている。法身・報身・化身という中国華厳の三身思想が遼仏教に及んだ時、大日如来が法身仏として造形化されるに至ったことが想定される。顕密融合の仏身論がここに認められる。さらに朝陽北塔では、仏舎利を大日如来に見立てていることが確認される。これは、清凉寺釈迦如来像像内の五臓が大日如来に見立てられたことと共通する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
清凉寺釈迦如来像の依拠する仏身論が、北宋・遼の事例にみられる仏身論とどのような関係にあるのかを明らかにした。同時に、その核心に位置する開封の盧舎那仏像の像容を他作例と比較しつつ探究した。この成果に基づき「盧舎那仏と栴檀釈迦瑞像―北宋・遼と日本の仏身論をめぐって」(『東アジアの王宮・王都と宗教』 勉誠出版)を執筆し、刊行待ちの状態である。前年度までの成果を加えると、8世紀から13世紀までの東アジア世界の仏教造形を「仏身論」を基軸に再構成することが可能になる。以上から、本研究は当初の計画以上に進展していると見なされる。
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Strategy for Future Research Activity |
日本の仏教的な造形には、法身-生身(化身)という二身論が普遍的に組み込まれている。この考え方は『華厳経』・『梵網経』の受容により、奈良時代の大仏造立において成立した。かたちのない「法身」は本来表象することが困難であるが、平安時代以降、華厳思想と密教が重ねられることによって、大日如来という意味を伴って法身は形象化されていく。このありようは、東大寺大仏において顕在化し、清凉寺釈迦如来像へも及んでいる。一方、中国では遼代の朝陽北塔において、法身・報身・化身という中国華厳の三身思想の中に、大日如来を法身とする事例があり、さらに、仏舎利を大日如来に見立てていることが確認できる。このことを重視し今後は、遼と平安時代日本の事例を比較検討しつつ、その関係を検討し、最終的には、東アジア世界の仏教造形を「仏身論」を基軸に再構成する計画である。
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Report
(4 results)
Research Products
(17 results)