Project/Area Number |
19K00216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
坂井 千春 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (40381925)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2019: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 女性作曲家 / ピアノ曲 / ベル・エポック / フランス音楽 / シャミナード / エイミー・ビーチ / リリー・ブーランジェ / ジェルメーヌ・タイユフェール / 女流作曲家 / セシル・シャミナード / ピアノ音楽 |
Outline of Research at the Start |
セシル・シャミナード(1857-1944、仏)は、自作の出版と演奏だけで経済的に自立した最初の女性職業作曲家である。ベル・エポックに大人気を博したが、死後長い間忘れられていた。しかし近年、再び演奏され始めているにもかかわらず、先行研究が非常に少ない。研究方法としては、まず散逸している彼女の全ピアノ曲を収集し、同時代の作曲家と比較検討する。次に彼女の自作自演録音など19世紀女性ヴィルトゥオーゾの演奏法を、研究者のピアニストとしての視点から詳細に分析する。そしてピアノ学習者たちの指針となるような解釈を提示した世界初の解説付シャミナードピアノ曲全集出版を目指し、録音や演奏会を通じて再評価を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究成果として、シャミナードのピアノ小協奏曲(コンチェルト・シュトゥック)のオーケストラとの共演、シャミナード作品のCD制作、インターネットでの小品発表など、シャミナードの研究については一段落致しました。ただ、ピアノ作品集の楽譜出版のみが、出版社の都合により、まだ完成していない状況ですが、原稿はほぼ出来上がり、仕上げの段階に入っています。 同時に、シャミナードのみではなく、次の研究であるエミー・ビーチやフランスの他の近代女性作曲家達の作品研究にもさしかかり、研究対象の作品が増大しました。 最近の傾向として、多様な価値観と共に女性作曲家に対する壁が少しずつ取り除かれ、世界的に女性作曲家の作品に対する興味が増してきたことは非常に喜ばしいことです。 特に19世紀以降の自立する女性作曲家たちの作品の版権も切れて、新たに楽譜が多く出版され始めたことも一因となり、女性作曲家についての資料が増えてきたことは非常に大きな収穫です。また、インターネットでもIMSLP(International Music Score Library Project)にも女性作曲家の作品が取り上げられて入手しやすくなっています。 以前にも、シャミナードの作品を演奏する子供たちやアマチュアの音楽家達はいましたが、プロの演奏家達が続々と録音をし始めたのは最近のことです。私もシャミナードの作品やリリー・ブーランジェの作品は機会あるごとに演奏し、裾野をひろげていくことにも努めています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シャミナードの個々の作品各曲の分析、特徴、時代背景についての原稿は、ほぼ完成しています。 また、以前から計画していた、シャミナードの生涯を物語的に記した、Laura Kerr著、「Sarf Dance」の翻訳も順調に進んでいます。この本の著作権はすでにパブリック・ドメインになっており、作品解説とともに簡単な伝記を書き加え、まとめていきたいと思っています。 パトロンに頼らず、自作の作品の発表と演奏のみによって経済的に自立した、「西洋音楽史上初の職業女性作曲家」としてのセシル・シャミナードの研究から始めましたが、その後、どのように次の世代の女性作曲家たちに推移していったのか、また、シャミナードと書簡などで親交もあったアメリカ人女性作曲家、エミー・ビーチのように、ある意味正反対の生き方をした彼女との比較など、次の研究に繋げるように進めています。
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Strategy for Future Research Activity |
シャミナードのピアノ作品の楽譜の完成、またLaura Kerr著、「Sarf Dance」の翻訳を終え、彼女の伝記にとりかかることも目標としています。 今秋には、招かれて九州と神奈川でシャミナードのピアノ作品の演奏と講座をする予定もあります。 また、シャミナードが大成功を収めたアメリカ演奏旅行の足跡を辿るためにアメリカに行き、ボストンのシャミナード・クラブを訪れる予定です。同時にもう一つの研究の柱である、アメリカ人の作曲家エミー・ビーチの資料収集も行なう計画です。
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