Project/Area Number |
19K00315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横溝 博 東北大学, 文学研究科, 教授 (30303449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2019: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 高橋富兄 / 国学者 / 古典注釈 / 住吉物語 / 近代短歌 / 北辰会雑誌 / 旧制四校 / 旧制四高 / 枕草子 / 金沢 / 近世国学者 / 注釈 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、幕末の加賀金沢藩士であり国学者・歌人であった高橋富兄(たかはしとみえ)の著作『住吉物語問答』『枕草紙箋』を主たる研究対象として、高橋富兄の学芸と注釈がいかなるものであったのか明らかにする。具体的には、『住吉物語問答』『枕草紙箋』の書誌的な調査をし、その注釈内容を吟味することで、高橋富兄の学説がいかなるものであるかを検証する。幕末から近代に至る時期の金沢において、高橋富兄の果たした役割を明らかにし、得られた研究成果を斯界に提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、昨年度と同様に、過年度に調査収集した資料の研究および整理が主たる内容であった。高橋富兄による文学関係の資料である『住吉物語問答』(玉川図書館内 近世史料館蔵)を翻刻し、内容をあらためて精査した。それによって、玉川図書館に所蔵する『日本文学全書』(博文館刊)は、明治23 年4月25日の初版から明治25年3月29 日10版までの間の版の本と思われ、『住吉物語問答』の引用本文と一致し、付記する頁数・行数ともに完全に一致することから、本書は『住吉物語問答』の底本として用いられた原本そのものでることが判明した。さらに高橋富兄は答を成すにあたり、不審箇所 は『群書類従』本と寛永9年中野道也刊本とを用いて校勘していることなど、具体的な書誌情報を特定することができた。また、インターネットに公開されている『北辰会雑誌』のバックナンバーを蒐集して、同誌に掲載された高橋富兄執筆の論文「女郎花訓考」「無品親王服色考」および同論文にたいする書評の内容について考察をつづけて行ない、高橋富兄の有職故実家としての側面を分析した。このように、当該年度の主たる研究(昨年度の拾遺および補遺を含む)は、当初の計画どおりとは言えるが、もう一方の課題である金沢大学に赴いての旧制四高にかかわる資料調査を、調査を予定していた春に自身がコロナに罹患したこと、また能登半島の巨大地震が発生した直後とあって、実行に移すことができなかったことは悔やまれる。また、高橋富兄編による歌集『詠梅二百一首』『梅のかをり』の検討も(資料そのものは手元にあるものの)未着手なままであり、課題として残る。考察のまとめと新たな書誌調査および整理、未解説資料(『語箋』『語彙考』いずれも国立国会図書館蔵)の検討と全体の総括は、最終年度に持ち越さざるをえないこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までに、収集した資料の研究については、手元にデータがあるためほぼ達成できた。しかしながら、かねて予定していた金沢大学での調査、資料収集については、今年度も諸般の事情により実現することができなかった。高橋富兄の文芸に関する自筆資料や、伝記研究に関わる情報収集が不可欠であり (高橋富兄の墓所の実地踏査も課題の一つである)、そのためには旧制四高の資料を所蔵する金沢大学での資料収集が欠かせない。これについては、さらに次年度に持ち越さざるをえない。よって、当該年度については、調査内容の考察と課題の整理という点では進捗はあったものの、実地踏査については実現できていないことから、「やや遅れている。」と自己評価するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
『住吉物語問答』『枕草子箋』の翻刻および内容に関する研究を充実させ、報告できるようにする。また、『北辰会雑誌』掲載の論考を精査し、高橋富兄の国学者としての研究や、旧制四高での教授活動などについても調査を進め、高橋富兄の学芸の内容を明らかにする。 とくに、諸般の事情で実現できていない旧制四高に関する資料調査を金沢大学に赴いて実現したい。同時に、近世から幕末・明治にかけての『住吉物語』受容についても継続的に調査を行うものとする。文芸の側面においては、金沢歌壇における高橋富兄の活動について、他の歌人たちとの交流を探索し、情報を収集するなど、伝記研究を補完するために更なる情報収集に努めたい。『詠梅二百一首』をはじめ、金沢における高橋の歌壇活動については、佐佐木信綱をはじめ、同時代の歌人たちとの交流をも視野に入れながら進めていく。なお、学者としての高橋に関しては、古語の語彙・文法にかかわる研究である『語箋』(国立国会図書館蔵・自筆本、同デジタルライブラリーで公開中)の検討に着手したい。次年度も研究推進の方策については、現地の状況を見極めた上で予定を組むなど、調査の実現に向けて前向きに活動したい。
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Report
(5 results)
Research Products
(6 results)
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[Book] 王朝物語論考2023
Author(s)
横溝博
Total Pages
608
Publisher
勉誠出版
ISBN
4585390243
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