19世紀アメリカにおける健康改革運動と文学作品の相補的関連性についての研究
Project/Area Number |
19K00400
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
稲垣 伸一 実践女子大学, 文学部, 教授 (00269599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2019: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 健康改革 / 水治療 / 性 / フリー・ラヴ / スピリチュアリズム / 食事改革 / キリスト教 / 肉食忌避 / 菜食主義 / 宗教 / 千年王国 / 共和制国家 / 服装改革 / アメリカ文学 / health reform |
Outline of Research at the Start |
千年王国思想と偉大な共和制国家実現の夢がどのように健康改革運動を規定していたのか、その健康改革の特徴と通底する要素が同時代の文学作品に認められないか、という二つの問題について考察するため、以下の作業を行う。 1.偉大な共和制国家実現と至福千年王国の到来という国家主義的・宗教的願望(信条)がいかに健康改革運動のレトリックに入り込んだかを改革実践者の残した一次資料から探る。 2.国家主義的・宗教的願望と健康改革との関係を文学作品から検証する。 3.健康改革運動と文学を結ぶ水治療の推進者Mary Gove Nicholsの言説を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
19世紀アメリカにおける健康改革運動(health reform movement)と水治療(watercure / hydropathy)との相互関係について考察する中で、これらが女性の健康という側面から結婚制度について批判的思想を持つ契機となったことを確認した。つまり女性の健康という点から、たとえば水治療を実践したMary Gove Nicholsは男女関係における性の過剰を批判し結婚制度批判につながった。それが当時の社会において急進的思想として批判されたいわゆる「フリー・ラヴ」思想と見なされたのである。そして結婚制度批判とフリー・ラヴ思想については、研究発表「19世紀アメリカン・スピリチュアリズムと女性解放運動――進歩主義とジェンダーの軛」(日本アメリカ文学会東京支部2022年度1月例会、2023年1月21日)において、健康改革と結婚制度批判をスピリチュアリズムとの関係から論じ、その関係を文学作品から考察した。扱った作品は南北戦争前に発表されたものとしてMary Gove Nichols, Mary Lyndon、南北戦争後の作品としてはHenry James, The Bostoniansである。この発表により、本研究課題の中心である健康改革運動と性の問題から、女性解放思想とも関係する結婚制度批判とフリー・ラヴ思想、そしてスピリチュアリズムとの関係について考察することができた。 2021年度までの研究では、申請時に本研究の目的としてあげた3点のうちの2点「偉大な共和制国家実現と至福千年王国の到来という国家主義的・宗教的願望がいかに健康改革運動のレトリックに入り込んだかを一次資料から探る」、「その国家主義的・宗教的願望と健康改革との関係を文学作品から検証する。」に力点が置かれたが、2022年度においては、3点目の目的「健康改革運動と文学を結ぶ水治療の推進者Mary Gove Nicholsの言説を分析する。」に移った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までに収集した資料や二次資料の分析・読解はある程度進んだが、計画していた資料収集目的のアメリカ出張は新型コロナウィルス感染のため延期した。この出張では、アメリカ東部に加え西部および南部での健康改革の状況を知るための資料収集を目的としていた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の再々延長が求められた2023年度には、前年度延期したアメリカ西部および南部への出張を実施する予定である。また、状況が許せば、ヨーロッパへも足を伸ばし、水治療発祥の地であるヨーロッパにおけるその影響についての資料を収集、また現在も残る施設を見てみたいと考えている。 研究はやや遅れているが、最終年度に当たり本研究課題での成果をまとめる内容の論文執筆を進めていきたい。
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Report
(4 results)
Research Products
(3 results)